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43歳で"実家を捨てた"女性が語った絶望の過去 「シンデレラみたい」長年癒えなかった傷

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  • 大塚 玲子 ノンフィクションライター
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着いた翌朝、葉子さんはさっそくレンタサイクルで街を走り、住む場所の目星をつけました。信号待ちをする人などに、どの辺りが住みよいか聞いてみると、みな親切にこたえてくれたといいます。

地元に戻るとすぐ、勤め先に「来月で辞めます」と伝え、翌月退社するや否や、この街に引っ越してきました。彼女が地元を離れたことを知っているのは、いとこと子どもと、わずかな友人のみだそう。はじめは短期のバイトを繰り返し、しばらく経って街に慣れてきた頃、ハローワークでいまの仕事を紹介してもらったということです。

「いま、超健康なんです。精神安定剤もいらないし、風邪すらひかない。こっちに来てから、皆さんがちゃんと私を評価してくれるんです。ちゃんと『ああ、野田さんね』って見てくれる。誰も私の父親や祖父母、親せきのことを知らない。そうしたらなんか『私、生きてていいんだ』と思えるようになって。

いま、自分のなかで何かが充実してるんですよ。だから変な言い方ですけれど、明日死んでもいいと思っているんです。それぐらい、ちゃんと生きてる感があるから」

無理をして言っているわけではないことは、一目瞭然です。この街での暮らしを話す葉子さんは、文字通り輝いて見えました。彼女はこれから、もっともっと、楽しいことになっていくのでしょう。

「この前いとこと遊びに出かけたとき、なんとなく手相を見てもらったら、『あと3、4年したら、もう一回動きがある』と言われたんです。私、何をやるのかな? と思って。もう一回くらい移住してみてもいいのかな。いまの私だったら、何でもできそうな気がするんです。以前の私みたいに、『どうせ私なんか』が、前面に出ていないから。

これから何がしたいかといったら、『ちゃんと深呼吸がしたい』と思います。地元にいたときは、できてなかったんですよ。いつもビクビク、ドキドキしていたので。あとは、実母の顔をすごく見てみたい。方法がわからないんですけれど」

葉子さんにつられて私まで、これからなんでもできそうな、ワクワクとした気持ちになっていました。帰り道、電車の窓から見た富士山は、それは美しく、力強い姿でした。

当連載では、さまざまな環境で育った子どもの立場の方の話をお聞きしています(これまでの例)。詳細は個別に取材させていただきますので、こちらのフォームよりご連絡ください。

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