自粛中の今こそ「遺言書」を記すべき納得の理由 大切な人を"争族"に巻き込まない50代の鉄則

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遺言書は早いうちに書いておいて損はない。その理由とは?(写真:CORA / PIXTA)
民法改正に先立って法務省が実施した調査では、55~59歳の相続に対する不安は、75歳以上の高齢者と同じくらいに高いことがわかりました。
実際、55歳くらいになると、親が弱ってきます。介護や入退院の世話などで、仕事を休んだり、辞めざるをえなくなるケースも出始めます。60代になると、親の世話が本格的になり、疲労困憊し、自分のことなど考えていられないかもしれません。一段落ついた頃には遺言を書く気力や判断力のない年齢になっていることも考えられます。
少子高齢化が進んでいますから、親の問題で忙殺される年齢も徐々に若年化するでしょう。
また、55歳くらいになると、そろそろ周りの友人・知人の誰かしらが亡くなり始めます。もちろん、最も身近であるところの親が亡くなる方も出始めるでしょう。
そこで、『55歳になったら遺言を書きなさい』の著者である井口麻里子さんに、なぜ55歳になったら遺言を書くべきなのか、その理由を解説してもらいました。

「遺言」と「遺書」を混同していると損をする

なぜ日本では遺言が忌避されるのか――。私が相続・資産承継などを専門分野として活動する税理士として、これまで多くのお客さまと携わってきた中で得た答えは、多くの人が「遺言書」と「遺書」を混同しているということです。

私が「遺言を書くべきです」と申しますと、「おいおい、まだ俺を殺すなよ」という方は結構多いものです。社会的責任のある立場の人でさえ、そうした根深いイメージを持っていることに驚かされます。

「遺書」とは、死を覚悟した人が死後のために書き残す文書と定義され、法的な効果はいっさいありません。感情的なことや葬儀についてのお願いを書くものです。

対する「遺言書」とは、自分が死亡したときに財産をどのように分配するかについて自分の意思を表明するものであり、民法の要件を満たす遺言書は法的な効力を発揮します。遺言がある場合には、原則として、遺言者の意思に従った財産の分配がされ、遺言の中で示しておけば、相続人以外の人へ財産を譲ることもできます。渡したくない人に渡さないことも可能です。

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