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自粛中の今こそ「遺言書」を記すべき納得の理由 大切な人を"争族"に巻き込まない50代の鉄則

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  • 井口 麻里子 税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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また、事前に十分時間をかけることで、相続税を減らすこともできます。相続争いのリスクをできるかぎり減らす工夫もできます。死ぬ直前では間に合わないのです。

いかにして自分の力で自分の財産を最大限有効に受け渡すか、自分の考えに沿った使い方をしてもらうか、気力も知力も判断力も決断力も十分なうちに、一度書いていただきたいのです。一度経験すれば、あとから書き直すときも楽に取り組むことができます。

こうした自粛時期にこそ、ご自身や家族、大事にしたいものなどを見つめ直してください。

ごく普通の家庭にこそ"争族"は起こる

相続にまつわる紛争は、年々増えています。

「相続争いなんてお金持ちの家で起こるもの」「うちは財産ないから」という人は多いでしょう。しかし、実はごく一般家庭にこそ、いわゆる“争族”は起こるものなのです。

家庭裁判所に申し立てられる遺産分割調停は年間1万2000件。そのうち、実に全体の33%が遺産額1000万円以下の案件であり、全体の75%を遺産額5000万円以下の案件が占めているという衝撃の事実があります。自宅を所有し、老後のための預貯金が多少あるというごく普通の家庭こそ、相続争いが最も勃発しやすいのです。

こうした紛争を防止するためにも、遺言が重要な役割を果たします。

最近は、お子さんのいないご夫婦が増えています。こうした夫婦の片方が亡くなった場合、残された配偶者と、故人の兄弟姉妹が法定相続人となります(故人の両親はすでに他界しているものと仮定します)。残された配偶者になるべく負担のかからない相続にするためには、どうしたらよいのでしょうか。ある夫婦を例に見ていきましょう。

良介さんと晴美さんのご夫婦には子どもがありません。そのせいか、二人はいつまでも友達のように仲良しでした。そんなある日、良介さんが通勤途中で事故にあい、急死してしまいました。

晴美さんは途方に暮れました。良介さんは63歳。晴美さんは少し歳の離れた52歳。あと2年ほどで良介さんが定年を迎えたら、二人で行きたいところが山ほどあったのに……。

とにかく葬儀や手続きなどを済ませ、ひと段落ついた頃に、良介さんの兄から電話がかかってきました。「晴美さん、良介の相続はどうするんだい? われわれが法定相続人のはずなんだが……」

良介さんは遺言書を残していませんでした。そうなると、良介さんの相続財産は相続人全員で協議して分けることになります。

良介さんの法定相続人は、妻の晴美さんと、良介さんの両親がすでに他界しているため、良介さんの兄弟になります。良介さんにはずいぶん歳の離れた兄が2人います。長兄は78歳、次兄は76歳。晴美さんとは25歳ほども歳が離れています。

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