自粛中の今こそ「遺言書」を記すべき納得の理由 大切な人を"争族"に巻き込まない50代の鉄則

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そのため、このような遺言があれば、残された配偶者は故人の兄弟姉妹と遺産分割協議をすることもなく、全財産を相続することができるのです。

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また、この遺言は別の効果も備えています。

亡くなった妻は一人っ子だと聞いていたのに、戸籍謄本をすべて収集したら、妻の父親に前妻との間の子どもがいることが判明する、ということも時々あります。妻もおそらく会ったことさえ、いやもしかしたら存在さえ知らなかった兄弟が、戸籍の中から突然現れることがあるのです。

しかし、この見知らぬ兄弟も立派な法定相続人です。残された夫はその人を探し出し、遺産分割協議をし、先方が主張すれば相続財産を渡すことにも応じなければなりません。このような隠れリスクを排除するためにも、「全財産を妻へ」「全財産を夫へ」と書き合っておく遺言が有効です。

この一言さえあれば、その兄弟を探す必要もなく、すべての財産を配偶者が相続できるのです。故人の兄弟姉妹には遺留分がないのですから。

遺言は自分と家族と財産を守る"武器"

この事例でご理解いただけたかと思いますが、相続について民法はさまざまなことを定めています。こうした法律の定めを遺言でうまく活用すれば、家族を守ることができるのです。

それだけではありません。ご自身に「こうした団体に寄付したい」などの思いがあっても、遺言がなければ一つも実現しません。遺言がなければ、相続人以外の人・団体にいっさい財産が渡ることはないのです。

思いがあるなら、必ず遺言を――。気力と知力と判断力と決断力が充実しているうちに、十分な時間を使って、遺言という“武器”を味方につけてください。

井口 麻里子 税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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いぐち まりこ / Mariko Iguchi

慶應義塾大学卒業。2009年2月に独立系の税理士事務所としては最大手の辻・本郷税理士法人に入所。その後、2年半にわたり、メガバンクのプライベート・バンキング部門へ出向。税務顧問を担当し、主に富裕層の相続対策、資産承継、事業承継の相談に応じてきた。帰任後は、相続コンサルティングを主業務とする相続部に在籍。日々、多くの顧客と接する傍ら、執筆活動やセミナーも開き、相続問題の解決に全力で取り組んでいる。趣味はトレッキング。
 

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