O2Oで大活躍、資生堂の”あのウサギ”
マジっすか?流通エースが仕掛けたドラッグストア戦略

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ドラッグストアとWebを結んだのは"あのウサギ"だった

重ねたメークをお湯だけで簡単に落とせる化粧下地「フルメーク ウォッシャブル ベース(FWB)」のプロモーションで起用された紙兎ロペ 。ロペは下町の高校2年生という設定。(c)紙兎ロペプロジェクト2014/フジテレビジョン

ヒット商品となったFWB。化粧下地として使えば、歌舞伎の化粧もお湯で落とせる

:FWBと紙兎ロペのコラボレーション。意外な組み合わせでしたが、お客さんがカウンセリングを受けずに自身で商品を選ぶことが多いドラッグストアなどの店頭からウェブに多くの人を誘引させたと聞いています。なかなか難しいことで、すごい成功例だと思います。まずは、企画の詳細を教えてもらえますか。

熊坂:企画についてですが、シリアルナンバーシールのついたFWBを店頭で購入していただいて、シールにあるQRコードからキャンペーンにアクセスしていただき、ワタシプラスの応募画面にシリアルナンバーを入力すると、「ワタシプラス」から購入特典が応募者全員に発送されるというものです。

このキャンペーンページで大事にしたことは、キャンペーンや商品のことを語るコミュニケーターを、店頭を入口としながらもウェブ上に設置し、店頭での商品選びやお買い物をサポートすることでした。今のお客様の購買行動は、売り場でウェブ上の情報を参考にお買い物をする傾向が強いですから。

:たしかに、みんなスマホ持ってますもんね。買い物するときウェブにアクセスして情報をチェックする人は多いですね。それにしても、普通店頭からウェブへ人を誘引させるのは至難のわざですよね。リアルからネットへの導線づくりに多くのマーケッターが悩んでいるわけですが、この施策の成功の理由は?

熊坂:やはり、紙兎ロペの力は大きかったと思います。どのようにすればブランドのメッセージにお客様が耳を傾けてくれるのかを考えた時に、アニメが有効だと思いました。たとえば資生堂の公式YouTubeアカウントで配信している動画の再生回数を見ても、実は上位2つはアニメとのタイアップなんです。

:なるほどね。で、コラボしたのが紙兎。

熊坂:もともと紙兎ロペありきの企画だったわけではなく、あれこれと考え抜いた末に出てきた案でした。お客さまへのスピーディーなリーチを考えるときに、FWBとシュールな紙兎ロペをくっつけたらウケるだろうな、と思ったんですね。「マジッすか?」というお決まりせりふと、FWBの「重ねたメークがお湯だけで落とせる」という意外性もマッチしていますし。

渡辺:「マジっすか?」というせりふはすごく耳に残りますよね。今まで世の中になかった新規性の高い商品をお客様に浸透させるのは、とてもよい組み合わせだと思いました。

※FWB(フルメーク ウォッシャブル ベース)
FWBは、世の中の女性の「もっと簡単に、肌にやさしくメークが落とせたらいいのに」という声に応えて開発された化粧下地。メーク前に塗れば日中“キレイ”が続くことに加え、夜にメークを落とす際には約40度のお湯となじませると、重ねたメークが浮き上がり、メーク落としを使わずに肌にやさしく簡単にメークが落とせる世界初の商品。
※紙兎ロペ
2009年夏から全国のTOHOシネマズの幕間上映というスタイルで発表されたショートアニメーション作品。下町を舞台に、紙兎「ロペ」と紙リス「アキラ先輩」の2人のなんもないようでいて、それなりに楽しい日常を描く、シュールでゆる~い会話による独特な世界観が人気を呼んでいる。現在「めざましテレビ」(フジテレビ系)にて放送中。
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