O2Oで大活躍、資生堂の”あのウサギ”
マジっすか?流通エースが仕掛けたドラッグストア戦略

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:ネットに親和性が高い紙兎ロペとFWBの意外な組み合わせが、店頭とウェブを結び付けた秘密なんですね。

渡辺:そうなんです。一方で悩みが。紙兎ロペは男子高校生が主人公だったということです。だから、どうやってメークというテーマに落とし込むか悩みました。で、思いついたのがバンドのためにメークするというもの。ロックバンド・KISS風のメークも意外性があって、好意的に受け入れられたと思っています。資生堂が蓄積してきた美容理論の知見をただ発信するだけでなく、お客様が愛着をもって「自分ごと」にできるようなアイコンを立てたかったので、ロペは適任でした。

:上司である渡辺さんは、「紙兎ロペを起用したい」と最初に聞いたときはどう思われましたか?

渡辺:「ロペってなあに?」というところから聞きましたね。熊坂から「とりあえず朝6時48分に『めざましテレビ』を見てください」と言われて早起きしたんですが、はじめは頭にクエスチョンマークが浮かんで(笑)。でも、だんだんとシュールさに共感できるようになってきました。これならウケると理解できて。

熊坂:ネット上では「ロペがKISS風にメークしているのがおもしろい」というコメントがありましたが、「メーク」というフィルターを通して紙兎ロペのファンと接触できたのが嬉しかったですね。キャンペーン事務局にもロペの熱烈なファンの方から長い感想の電話が入ったと聞きました。お客様に楽しい買い物体験を提供できていると実感できた瞬間です。

:紙兎ロペと資生堂、紙兎ロペとメークというコンテクストづくりに見事成功したわけですね。

ドラッグストアの現場風景からはじまった

ドラッグストアを起点に資生堂の新たなマーケティング手法を切り開いた紙兎ロペとFWBのキャンペーン告知。「え?マジっすか?」はロペの口癖です (c)紙兎ロペプロジェクト2014/フジテレビ

:資生堂は化粧品専門店などでの対面販売でブランドを築いてきた会社。一方、ドラッグストアなどの組織流通業ではその強みを存分に発揮できていなかったところがあったかもしれません。そういう意味でも今回の施策は資生堂のマーケティングに一石を投じるものだったのではないでしょうか?

渡辺:2012年に迎えた140周年を機に、これからはオンラインでのビジネスが必要だということで「ワタシプラス」を始めました。その一年後の2013年2月には、流通開発部のなかにO2Oモデルを考える部隊(トレードマーケティンググループ)が発足。従来の顧客層が時代とともにオンラインショッピングに移行してきたことを受け、プラスαのサービスとして運営してきた「ワタシプラス」でしたが、一方で、ドラッグストアなどの組織小売業の店頭を利用する人も多い。この二つを上手く結びつけて、双方の売上げを上げることはできないかというミッションを遂行するために発足したのが、我々のトレードマーケティンググループなのです。

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