熊坂:「ITリテラシー」という言葉がありますが、「流通リテラシー」みたいなものもあると思っていて、その蓄積したノウハウを活かせることもあって、流通開発部門に設置されたのだと思います。
嶋:「流通リテラシー」ですか。そういうセンスはキャンペーンを構築する全ての人が身に着けたいセンスですよね。お二人が普段から「ドラッグストアの風景」を見ているからこそ成功したということですね。ドラッグストアの売り場は店によって事情がことなるので、統一規格を実施するのは難しいことだと思います。今回、それを攻略するために工夫したことはありますか?
熊坂:これまでは「資生堂の商品はこうあるべきだ」というブランディング上の視点から店頭のあり方を考えてしまいがちでした。しかし、それは従来型のお客様と強固な絆でつながっているという前提があった上での戦略です。しかし、これだけ情報が過多になっている時代ですと、お客様にリーチする作戦をもっとしっかり練らなければいけない。
嶋:逆から考えるわけですね。
熊坂:自分が店頭で商品を買う時に、「なんでこれを手にしたんだろう」ということを常に考えるようにしています。それで思ったのは、意外と「ピンクが目に入ったから」とか、「コピーがたまたま目に飛び込んできたから」など、ちょっとしたことが動機になっているということ。そういったインサイトを喚起させるために、紙兎ロペの持つ違和感は効果的だと思ったんです。もちろん、多くのロペのファンも店頭に足を運んでいるでしょうし。
嶋:手に取ったときの反応ってすごく大事ですよね。ドラッグストア側のこの企画に対する反応は?
熊坂:「ロペだったらウケそう」と勘所を働かしてくれた店が多かったように思います。ひとつ気をつけたのは、店頭キャンペーンはPOPを貼ったり、応募ハガキを設置したりと、繁雑になりすぎるんです。しかし、今回は、お客様が「ワタシプラス」の応募画面に直接情報を入力するので、それを避けることができました。
お客様がお問い合わせをする際も店頭ではなく「ワタシプラス」に聞いてみようということになる。店頭キャンペーンを展開させていただくにあたり、これまでお店側に負担が行ってしまっていた部分を軽減することができました。
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