「考える力が弱い人」には"枠組み"が欠けている 「自分の頭で考えること」の本当の意味
僕は立命館アジア太平洋大学(APU)の学長に就任した当初から、わが国の教育の根幹となる教育基本法や学校教育法、学校教育法施行令などの法令を読み込み、
「なぜ、日本の教育システムはこのような形になったのか」
「何を目指して教育を行い、どんな人間を育てることを教育の根本的な目的としているのか」
などについて考えてきました。わが国の教育は、教育基本法を礎として進められていますが、教育基本法第1条では、教育の目的を次のように規定しています。
「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」(2006年12月、戦後59年ぶりに改正)
すなわち、「一人ひとりの人格の完成」「国家・社会の形成者として必要な資質を備えた市民の育成」を行うことが教育の根幹です。
僕は、教育基本法が定める目的を次のように解釈しています。
自分の頭で考え、自分の言葉で表現できる人間になる
僕の解釈する教育の目的である、「①自分の頭で考える力を養う」について考えてみましょう。
17世紀の哲学者、パスカルが、著書『パンセ』の中で、
と述べているように、人間は思考を行うからこそ偉大であり、人間の尊厳のすべては、考えることの中にあるといえます。
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