一流を目指す人が「人と食事に行かない」ワケ 格闘家・青木真也の「搾取されない生き方」
10年前、青木真也はメジャー格闘技団体「PRIDE」でデビューした。しかし、デビューから1年足らずで「PRIDE」は消滅し、格闘技バブルは弾けた。ファイトマネーは底なしの下落が続き、出口の見えない負のスパイラルは、今なお続いている。
そんな中、青木真也だけはアジアを拠点に活動を続け、今ではアジア随一のファイトマネーを稼ぐ格闘家になっている。なぜ彼の価値だけが上がり続けるのか。
9月8日に上梓したビジネス書『空気を読んではいけない』から、極端ながらも本質的な5つのメソッドを紹介する。
伝統なんてクソ食らえ、亜流を貫け
僕は中学の柔道部では補欠だった。だから格闘家としての才能がないことは僕が一番よくわかっている。生き残る術として必死に見出したのが、誰も見たことのない寝技を繰り出すことだった。
しかし、日本柔道界は「しっかり組んで投げる」スタイルを正統派と見なし、それ以外を認めない風潮がある。いきなり相手に飛びついて極め技を狙う僕は、明らかに異端児と見なされていた。いくら勝利を重ねても一向に認められることはなく、批判は絶えなかった。
柔道は、「背負い投げ」と「内股」「大外刈り」の“ビッグ3”を得意技にしなければいけないような、暗黙の了解がある世界だ。トリッキーな寝技に偏っていた僕が、どれだけ勝利を収めてもついて回るのは「なんだ」という言葉になる。
「なんだ、その柔道は」「なんだ、あの技は」
僕の柔道人生は正統派を求められる同調圧力との戦いだったとも言い換えられる。しかし、僕はその空気に飲み込まれずにいられた。「大きなお世話だ」と心の中で叫んでいた。
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