「考える力が弱い人」には"枠組み"が欠けている

「自分の頭で考えること」の本当の意味

人間の人間たる所以は、他人の意見に左右されることなく、自分の頭で考えることです。

自分の頭で考え、自分の言葉で、「こう思う」と自分の意見をはっきり表現できる人間になること。つまり、まっさらの状態から自分の頭で考え、人とは違うアイデアを紡ぎ出す力を培うことこそが教育の真の目的です。

考える力とは、探求力、問いを立てる力、常識を根底から疑う力などと言い換えることができます。

自分の頭で考える力がなぜ必要なのかといえば、社会や技術の進歩のスピードが速くなり、将来において、何が起こるか誰にもわからなくなったからです。

もし将来起こることのすべてが現状の延長線上にあるのなら、別に自分の頭で考えなくてもそれに対処できるかもしれません。今と同じ状態でとどまっていればいいからです。ですが現在の人類は、わずか数年先さえ見通すことができません。2019年12月以降に世界的な大問題となった新型コロナウイルスがいい例です。新型コロナウイルスの蔓延はとどまるところを知らず、2020年4月16日には、日本全国に緊急事態宣言が適用されました。

世の中がどう変化するか誰にもわからないときに、一番大事なのは、原点から考える力です。

変化に対応するには、他人の意見に左右されず、自分の頭で、自分の言葉で、データを使ってロジカルに考えるしかありません。だからこそ教育では、「自分の頭で考える力」を育てる必要があるのです。

考える力を身につけるには「先人の真似」から入る

スポーツでも芸術でも、何らかの技術を習得しようと思えば、練習が不可欠です。人間は不器用な生き物なので、練習しなければ力を高めることはできません。脳も例外ではなく、考える力を鍛えるには、練習が必要です。

ではどうすれば、考える力を育てることができるのでしょうか。僕は、一流の人の真似をすることから始めるべきだと思っています。

考える力は、料理をつくる力と同じです。まずお手本となるレシピ通りにつくってみる。食べてみる。味見をして、「ちょっと塩辛いな」と思ったら、醤油や塩を減らす。味が薄いのなら、醤油や塩を足す。その繰り返しで、おいしい料理をつくる力がついていきます。

考える力を身につけたいのなら、料理のレシピを参照するように、まず優れた先人の思考の型や思考のパターン、発想の方法などを学ぶことです。

アリストテレスやデカルト、アダム・スミスなど、お手本となる超一流の先人の著作を読んで、彼らの思考のプロセスを追体験し、他の人と議論を重ねながら、考える癖を身につけていく。これが、考える力を鍛える最も普遍的な方法だと思います。

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