「いやそれだったら貯蔵しておくよ」
と言いたいところですが、今回はその貯蔵タンクが世界中で満タンな状況下で5月に引き取らなければいけない原油取引が残っていたせいで、それを引き取るための価格がマイナスになったという話です。めったに起きるはずがないとても特別な経済現象だったのです。
でも原油価格がマイナスだというのはすごくチャンスに思えますよね。もう少し粘ってなんとか儲けられないか計算してみましょう。
「いやいやちょうど休止している工場裏の空き地があるからそこに原油を置いて2億円もらうっていうのはどうだろう?」
という感じで企業のオーナーになったつもりで考えてみてはどうでしょうか。
5万バレルがどれくらいの量なのかすら、わからない人が多いと思います。バレルという単位はもともと「樽」の意味です。あの海賊船とかによく積まれている樽が満タンになる大きさが1バレル。正確には159リットルですが、みなさんがよく見かけるドラム缶の大きさがJIS規格で200リットルなのでそれを使って原油を保管するコストを概算してみましょう。
2億円儲けるために4億円の費用が必要になる?
工場裏の空き地にどれくらいの広さが必要かというと200m×100mつまり野球場が2面とれるぐらいの広さがあればドラム缶を4万個(5万バレル)置くことはできそうです。じゃあさっそくドラム缶を用意してみることにしてモノタロウでドラム缶の価格を調べるとひとつがだいたい1万円ぐらい。
そうやって計算してみると遊休地に4万個のドラム缶を用意して原油を引き取る準備をするとかかる費用はしめて4億円。がっかりですね。2億円儲けるために簡易貯蔵基地を作ってビジネスチャンスを勝ち取ろうと考えてもかかる費用が4億円ですか。
とはいえ状況が落ち着いたら保管してある原油は1バレル20ドルぐらいで買ってもらえるかもしれません。そこまで考えてもその売上は100万ドル、つまり約1億円ですね。結局出ていくお金のほうが多くて1億円の損になってしまいます。このチャンス、どうやら中小企業のオーナーでも元はとれなさそうです。
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