電気代「原油価格マイナス」でも安くならない訳 ガソリンは多少安くなっても、そう甘くはない

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この先長期的にはどうなるかというと、WTIの先物価格はコロナ自粛の世界的な解除が期待される夏から秋にかけて上昇していきますがそれでも20ドル台後半で収まっています。おそらく市場としてはコロナ後の世界でも不況による需要減を見込んでいるのでしょう。つまり今は長期予約でメリットがないにしても、これから先の原油の仕入れ価格は電力会社にとってもガソリン卸会社にとっても昨年の半額以下にはなりそうな水準です。

以前、原油価格が同じくらい低かったときを遡って調べてみると21世紀初頭の2002年ぐらいに相当するようです。その当時はガソリン価格がリッター100円を割ることがありました。だとすると今年の夏もひょっとするとガソリン90円台がやってくる可能性があるかもしれません。

ただガソリンが下がるといっても自動車の燃料タンク満タンまでしか買うことができません。家計に占める支出を下げるということではぜひ電気料金に期待したいところです。

実は石油による発電は9%程度

日本の電力会社の発電能力の構成比では化石燃料による火力発電が8割と比率は大きいのですが、実は石油による発電は9%程度。30%が石炭、40%がLNG(液化天然ガス)による発電です。

「でもLNGの価格も原油ほどではないけれど下落しているからその恩恵は見込めるんじゃないの?」

と思うところですが、原発事故後におきた全国の原発停止で日本は割高なスポット価格での天然ガスを買わなければ需要が満たせない状況が続いています。コロナで原油価格が下落を始めた2020年2月時点で比較すると日本が購入するLNG価格はアメリカの5倍。原油価格下落の恩恵はまったく得られていないのです。

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今回、世界的に天然ガスも価格が下がっていますが、日本の場合、原発停止後の安定需要を満たすという理由での高値購入のため、交渉でどれだけ下げられるかについては限界がありそうです。

つまり結局のところ、原油価格マイナスというニュースが飛び込んできたとしてもわたしたちの電気代やガス代には恩恵はなさそうだという残念な話でした。いや、チャンスかと思ったのですが、本当に残念です。

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