コロナで困る人に「災害対策基本法」が有効な訳 「自然災害とみなして対応を」弁護士の提言

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緊急事態宣言で人影がまばらになった東京・秋葉原(撮影:今井 康一)

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには、災害対策基本法も有効だ――。東日本大震災以後、災害支援に当たってきた弁護士らがそう訴えている。4月16日には「災害対策基本法等で住民の生命と生活を守る緊急提言」を発表し、コロナの感染拡大を“自然災害”と位置付けて対処せよ、と提言した。その核心は何か。提言の中心になった津久井進弁護士(兵庫県弁護士会)に聞いた。

「津波や地震から逃れるのと同じ」

「緊急提言」は冒頭で、次のように言う。

新型コロナウイルス感染症の拡大は、災害対策基本法(以下、災対法)第2条1項1号が定める「異常な自然現象」と解することは十分可能です。この新型コロナウイルス感染症の拡大という事象を「災害」と捉え、現在の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対策のほか、災対法やその他の災害対策関連法制を利用し、更なる感染症の拡大防止、生活等の支援が可能となります。
そこで、私たちは、新型コロナウイルス感染症の拡大を災対法の「災害」に認定するなどの弾力的運用あるいは制度転用を行い、災対法をはじめ、災害時の各法制度を活用することを緊急に提言いたします。

その上で「提言」は災対法を利用することで

① 市民に自宅待機を求めることができる

② 「警戒区域」を設定することで立ち入りを制限することができる

③ 激甚災害制度を活用することで事業者が雇用者を解雇せずに雇用保険の基本手当を支給できる

という3つの支援策が早期に可能になるとしている。

津久井進弁護士。取材はオンラインで行われた(撮影:木野龍逸)

感染症の拡大を自然災害とみなして、迅速な対応を取れ――。その大胆な発想はどこから生まれたのか。津久井弁護士は「まず必要なのは危険の回避。津波や地震から逃れるのと同じです」と言う。津久井弁護士は日本弁護士連合会の災害復興支援委員会委員長も務めている。

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