4月1日、安倍晋三首相が国内の約5000万の世帯にガーゼマスクを2枚ずつ配布することを発表した。
この対策に対して異論を唱える人たちが多い中、「このタイミングで配るのはどうかとか、1世帯2枚でいいのかといった議論はあるかと思いますが、洗って使い回せるマスクでしょ。すごくいいと思います」。
こう持論を展開するのが、独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器センターの永井英明医師。日本感染症学会指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会指導医などを持つ、呼吸器感染症治療のプロフェッショナルだ。
永井医師は、現在の新型コロナウイルス感染症に対するマスクの扱いについて、疑問に思うことが多いという。
「例えば、WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルス感染症の症状、とくに咳がある人やその人の世話をする人だけマスクを使うように呼びかけています。しかし、本当はすべての人がマスクを使ったほうがいいはずです」
厚生労働省は、新型コロナウイルスに関するQ&Aのなかで、マスクについて「自身の予防用にマスクを着用することは、混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策と考えられます」としている。
期待できるマスクの効用は主に4つ
そもそも、マスクとは何のために着けるのか。ここでその目的を少し整理してみたい。
永井医師によると、一般的にマスクの効用は次の4つがあるという。
①~③は自分の身を守るための、④は他人の身を守るためのものだ。それぞれについて解説してもらった。
「まず①『感染(する)リスクを下げる』についてですが、不織布のマスクでの研究データはいくつか出ています。ただし、病原体から身を守る効果があるという結果もあれば、効果なしという結果もあり、結論は出ていません。しかし、少しでも効果があるのであれば、マスクを使うべきだと考えます。相手は目に見えない病原体です。やれることは何でもやって身を守るべきです」
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