コロナで困る人に「災害対策基本法」が有効な訳

「自然災害とみなして対応を」弁護士の提言

「コロナウイルスの問題は、自然災害だと考えています。災害として対応すべきなのにそうなっていないために、どうしていいのかわからず、政府がとまどっているように見える。災害として捉えると、地震や大雨での経験から、対応の反省点や知恵も浮かぶのではないでしょうか」

「例えば激甚災害に指定されれば、会社が休みになると、休業期間中の給料を手当てする『みなし失業保険』制度が使えます。厚生労働省はコロナの支援策として雇用調整助成金の要件緩和をしていますが、『みなし失業保険』なら雇用調整助成金のようなややこしい手続きは不要です。また今回は、家は壊れていませんが、被災者生活再建支援制度で支給される50万~100万円を応用すれば、生活支援もできるのではないでしょうか」

災害に備えた既存の法制度を利用すれば、物資の支援も可能になる。ネットカフェ難民などにホテルや公営住宅の部屋を一時的に提供することもできるそうだ。

「政府は今回、条件付きの30万円支給をやめ、全世帯に10万円を支給する方針に変えました。その政策は評価しますが、一方で、岡本正弁護士(第一東京弁護士会)のように、支給金が差し押さえの対象にならないようにすべきだという声もある。差し押さえられたら、必要な人にお金が届きませんが、そうならないようにする対応は災害時に積み重ねられてきました」

「災害対応になれば、二重ローンを減免する制度も使えるようになります。二重ローンの減免制度は、東日本大震災や熊本地震では、使い勝手を少しずつ改善しながら活用してきました。今回も激甚災害級という認識があれば対応できると思います」

 「提言」の資料を示しながら取材に答える津久井弁護士(撮影:木野 龍逸)

歴史上は疫病も災害だった

「感染症も自然災害」とする背景には、いくつか根拠があるという。その1つは歴史だ。津久井弁護士が続ける。

「鴨長明の『方丈記』には、飢饉(ききん)の話とともに疫病の話が出てきます。鎌倉時代から、日本では災害と貧困(飢饉)と疫病はワンセットだったんです」

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