第2回 増え続けるサービス業の労働災害 ここが変わった! 新しい労働災害防止計画
4日以上の休業は年間11万人
当連載第1回でも触れたとおり、仕事中の事故などの労働災害によって、現在でも年間1000人を超える人が死亡しています。死亡には至らずとも、4日以上仕事を休まざるをえなくなった人は年間11万人にものぼります。
労働災害というと、建設業や製造業で起こる比較的大きな規模の災害、例えば、解体工事現場のクレーン車が倒壊してそこで働く従業員が死亡したり、ケガをしたりというイメージが強いかもしれません。意外に思われるかもしれませんが、労働災害全体から見るとこれらの業種が占める割合は大幅に減少してきています。
その理由の一つとして、昭和47年の労働安全衛生法の制定などにより、会社をはじめとして、災害防止に関する取り組みが着実に効果を上げてきたといえるでしょう。その一方で、働く人々がサービス業など(第三次産業)へとシフトしてきたことも大きな要因の一つとされています。その結果として、サービス業などでは、建設業や製造業とは逆に労働災害全体に占める割合が増え続けています。
サービス業などではパートやアルバイトといった、正規の従業員ではない、いわゆる非正規の従業員が多いことも特徴の一つです。1990年には労働者全体に占める非正規の従業員の割合は20%程度にすぎませんでしたが、2010年には34%と働く人の3人に1人以上が非正規の従業員というまで急速に増加してきています。
また、非正規の労働者の8割以上がサービス業などに集中している状況です。非正規の従業員が増えたことに伴い、労働条件や就業する状況が異なる従業員が混在している職場が増えています。そうした職場では、正規・非正規の従業員の間で、労働災害の防止に関する取り組み方や意識といった点で違いが生じているということも労働災害の増加と無縁ではないでしょう。
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