マスク不足に今も日本人が悩み続ける根本原因

アベノマスクは国の資金をドブに投じる愚策

図2 日本の不織布マスク輸入量(図:ニューズウィーク日本版)

図2は2020年1、2月の日本の不織布マスクの輸入量を2019年の1、2月と比べたものである。1月は中国からの輸入が2019年1月より18%増えているが、2月は中国からの輸入が前年の半分に減り、輸入全体も44%減っている。2月には日本でのマスク需要が高まったのに、中国からの輸入が大幅に減少したことがマスク不足をもたらしたと結論できる。

中国の感染終息で輸出が拡大する

中国では新型コロナウイルスへの感染爆発が1月下旬に起きたが、運悪く旧正月の休暇と重なってしまった。マスク工場も休暇に入っており、1月末の時点でもなおマスク工場の6割が休業していた。そこで中国政府はマスク工場だけでなく、自動車メーカーなどにも働きかけてマスクの増産を図り、2月末には一日1億1000万枚(月産33億枚)まで生産が拡大した。

不織布マスクのなかで重要な部分はチリやウイルスを濾過するフィルターで、ポリプロピレンを溶かして糸状に噴き出すメルトブロー法という製法によって作られる不織布によってできている。フィルター生産は装置産業であるためそう簡単に増産できないので、2月にはフィルター不足が起きて価格が高騰した。だが、3月に入って石化メーカーの燕山石化で10本の不織布生産ラインが稼働し始めたことで、供給不足も緩和された。

こうして中国の不織布マスク生産能力は1月から3月の間に5倍以上に拡大したが、中国での新型コロナウイルスの流行は3月中旬にはほぼ終息したため、それまでは国内消費に向かっていた中国製のマスクが今後は海外へ大量に輸出されることになるだろう(Bown, 2020)。

なお、海外のメディアでは中国政府がマスクの輸出を禁じたために海外でマスク不足が生じたという報道があったが、中国政府はそのような措置はとってないと否定した(Wang, 2020)。図2からも、中国でのマスク需要が最も高まった2月にも中国から日本へのマスク輸出が止まっていないことがわかるので、中国政府がマスク輸出を禁止したというのは濡れぎぬであった可能性が高い。

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