マスク不足に今も日本人が悩み続ける根本原因 アベノマスクは国の資金をドブに投じる愚策

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つまり、2018年には月平均で4億6150万枚のマスクが供給されていたことになるので、安倍首相がいうように月6億枚の供給があればふだんなら十分だった。しかし、2020年2月以降のマスク需要は少なくとも例年の2倍の月9億枚ぐらいにはなっていると考えられる。つまり、月6億枚では足りないのだ。

中国の感染拡大で品薄に

日本でマスク不足が始まったのは2月初旬であるが、その時点での新型コロナウイルスへの感染者数はまだ30人以下だった。人々がマスクを買い求めたのは感染を恐れたというより、「中国で感染拡大によってマスク需要が高まるため、日本への輸出が減るのではないか。だとしたら、買えるうちに買っておこう」という心理が働いたようである。

マスク不足と同時にトイレットペーパーの不足が起きたのはもっぱらそうした心理によるものであった。ただし、トイレットペーパーについて言えば、もともと国内生産で需要の97%が賄われているので、人々の心配は誤解に発していたのだが。

それに対して、不織布マスク(ドラッグストアで売られている使い捨てのマスク)の場合、供給の8割を輸入に頼っており、しかもその9割近くが中国からの輸入なので、中国でマスク需要が高まれば日本への輸出が減ってマスクが入手しにくくなる、というのはありそうなことである。

2月下旬に感染爆発に見舞われた韓国でもマスク需要が高まり、韓国政府は国内でのマスクの増産を推進する政策をとった。ところが、同じころ中国でもマスク需要が高まっていたため、せっかく増産したマスクの9割が公式・非公式のルートを通じて中国に流出してしまい、国内でのマスク不足が解消しなかった。

そこで、韓国政府は3月6日にマスクの輸出を原則的に禁止する措置をとるとともに、住民登録番号を利用して国民1人が毎週購入できるマスクを2枚までと限定することによって、国民にマスクが行き渡るようにした(金、2020)。

中国でのマスク需要の急増が日本のマスク不足をもたらしたのかどうかを輸入データで検証しよう。

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