「権力者に逆らう人間」が少数派である根本原因 「生存競争の手段」としては当然の選択である
身も蓋もないことを言ってしまえば、人間は権力に弱いです。単に「権力に弱い」と書くと、虚しく、情けなく見えるかもしれません。ですが、これも進化心理学から見れば、より強い遺伝子を残すために、生存競争の手段として人間が選んだ仕組みで、当然のことなのです。
ちなみに、ここで権力に弱いというのは「権力を持っている人の意見が正しい、間違いを言うはずがない」あるいは、逆に「自分の意見など通るわけがない」というバイアスを抱き、相手の意見にしたがってしまう傾向があることです。
たとえば、大企業の社長の意見は、なんとなく合理性を帯びていて、正しく感じてしまうような場合です。そう、ハロー効果の権力版です。権力に抗うのは、いつの時代もリスキーだし、難しいものです。ただ、権力者には権力者の特徴があります。
権力者ほど「リスク」を低く見積もる
横浜国立大学の佐々木秀綱氏の研究によると、自分に権力があると感じている人ほど、しっかりと考えるよりも、直感的にリスクのある選択をする傾向があるそうです。
逆に、権力がないと感じている人は、リスクを避けるため、しっかりと考えて意思決定する傾向がある、ということを明らかにしています。
つまり、権力感を持つ人のほうがリスクを低く見積もってしまうバイアスがある、ということです。
権力感が強い人たちのほうが、直感的に判断している可能性が高いということは、相手の心理に働きかける戦略が、功を奏す可能性が高いということになります。ここがある意味、彼らを説得する突破口となりそうです。
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