「女子高生の冗談」が招いた信用金庫破綻の危険 人は当事者よりも「第三者の情報」を信用する
Bさん「昨日ゼミ生で飲んでたんですけど、Aが堀田先生の新刊、読んだらおもしろかった、って言ってましたよ」
あなたが私(堀田)で、この2人がゼミ生だとして、どちらの情報がより信憑性が高いと思いますか? 正直、私は根が単純ですし、大学生にとって本を買うのは大きな出費なので、読んでくれる時点でありがたいです。
Aさんのようにダイレクトで言われても素直に喜びます。でも、どちらかといえば「また聞き」なのにもかかわらず、Bさんのほうが信じられると感じる方が多いのではないでしょうか。
このように当事者に言われるよりも、第三者から伝わった情報のほうが信憑性が高まる効果を「ウィンザー効果」と言います。
この効果の怖いところは、当事者が真実を訴え、第三者が間違ったことを言っていても、後者が信じられてしまうことがあるということです。
ジョークが発端の「豊川信用金庫事件」
この興味深い事例としては、1973年、心理学に関係する者なら誰もが知っている「豊川信用金庫事件」という事件があげられます。
豊川信用金庫に対する取り付け騒ぎ(金融機関への信用不安から、預金などを引き出そうとするユーザーが殺到して混乱が起こること)ですが、ことの発端は、女子高生たちの「信用金庫は(銀行強盗に襲われるから)危ないよ」というジョークでした。
単に、豊川信用金庫に就職が決まっていた同級生を、友だちが電車の中で他意なくからかっただけです。
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