緊迫する今こそ考えたい、「いい保育園」の条件 あなたの子が通う園に「余裕」はありますか?
新型コロナウイルスが流行する中で迎えた新年度。感染拡大の不安を感じながら保育園に子どもを預けて職場復帰した保護者も多いだろう。4月7日の政府による緊急事態宣言を受けて、首都圏では急遽休園を決定する自治体も増え、保育現場の混乱は続いている。
首都圏の保育園はもちろん、休園にならない地域の園においても、現場は“コロナ以前の問題”もあって余裕をなくしている。
各地の保育士たちが全力で頑張ってくれているのは言うまでもないが、そもそも質の高い、安心して預けられる保育園というのはどういうものか。コロナによる非常時が当面続きそうな今だからこそ、改めて考えてみたい。
最低配置基準は「1歳児6人に保育士1人」
「みどりー! めろんー!」「おれんじー! みかんー!」
コロナ騒動が起こる少し前、東京都世田谷区にある認可保育園「生活クラブ保育園ぽむ・砧」を訪れると、朝から子どもたちの元気いっぱいな声が響いた。1歳児クラスの子どもたちが食器洗い用のスポンジを手にして、色を見ながら覚えたての言葉を発している。
保育士の米塚祐子さん(52歳)は「わー、美味しそうだねぇ」と一人ひとりに応えていく。ある子は保育士の背中にスポンジをあてて「ごし、ごし」とつぶやきながら、米塚さんや、もう1人の担任の安保桃子さん(36歳)の体を洗ってあげている。子どもが、「きれいになったよ」と保育士の顔を覗き込むと、保育士が「ありがとー」とほほ笑む。
米塚さんは絶えず、子どもに声がけしている。公園に散歩に出る前も、「だるまさん」「げんこつ山の狸さん」などを歌いながら準備を進める。通常、1~2歳くらいの子たちが出かけようとすると喧嘩が始ったり、気乗りしないで泣く子がいて時間がかかるが、楽しい雰囲気のなか、あっという間に身支度が整う。
認可保育園では保育士の最低配置基準が決められており、1歳児6人に対して保育士1人となる。ぽむ・砧のある世田谷区では1歳児5人に対して保育士1人となるよう上乗せ基準を設けているが、同園ではさらに多い配置で1歳児クラス7人に対して担任保育士を2人つける。
取材した2019年度は、米塚さんと安保さんが担任を受け持っていた。公園に行く途中、2人はすれ違う人全員に「おはようございます」と挨拶していく。子どもたちが通ることを毎日楽しみに待つ高齢者もいて、子どもたちに地域の温かい眼差しが向けられる。
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