人気のブックイベントには共通項があった!

「ビブリオバトル」と「ブクブク交換」の発案者が対談

それまでブクブク交換は僕の所有物という意識がありましたが、僕は無料アプリのようなもので、やりたい人が自主的にやってくれれば広がっていくんだ、と気づいた。これってインターネット的ですよね。考えてみると、人は本を買って1人で読んで、1人で売りにいく(笑)。自主的なものであって、ソロ活動なんですよ。

谷口 インターネット的といえば、ビブリオバトルも広がりかたにインターネット的なところがあります。ビブリオバトルは広がっていますねと言われるけれど、アップルのアイパッドの伸びにはまったくかなわない。

なぜこの勢いでしか広がらないかといえば、ビブリオバトルはモノではないので、販売モデルのような経済的なシステムを巻き込むことができない。ただし、事業者が流通経路を整備しなくてもインターネットや口コミで飛び火する。おカネが絡まないから自由に動ける面もある。また、ビブリオバトルもブクブク交換も、ソーシャル性に特徴がある。読者と読者の関係という横軸を作ったのが、共通点ですね。

求めていたスーパーフラットな場所

「ノンコマーシャルな場所でコミュニケーションをスーパーフラットにできる場所がほしかった」(植田さん)

植田 音楽だと、フジロックフェスティバルとかサマーソニックとかコンサートがあって、アーチストと観客が一緒に汗をかける場所がある。本の世界では、作家、出版社の人、読者が一緒になる場所はサイン会ぐらい。でも、これは書店と出版社の販促活動でしょう。そうじゃなくて、ノンコマーシャルな場所でコミュニケーションをスーパーフラットにできる場所がほしかった。

それを思いついたのは、米国のグレイトフル・デッドというバンドの存在。そのバンドは、コンサートの録音・撮影をOKにしていて、そのためのエリアを作っている。実際、コンサート会場ではファン同士が自分で録音したものを交換しあっているんです。

では、ブクブク交換は何を目指しているのか。僕の現時点での答えは、バレンタインに匹敵するような、本を贈る記念日を作り、文化として残すことです。誰が作ったのかわからないけど、いつの間にかブックの日ができたよねえと言われながら死んでいきたい(笑)

「ビブリオバトルは自分の感受性や考えを表明する場」(谷口さん)

谷口 僕も参加者全員がスーパーフラットな関係にあることが重要だと思います。ビブリオバトルでは、少数の審査員がチャンプ本を決めることは絶対に許さない。発表者も、独善的な話をするとみんなにそっぽを向かれるし、聞き手もただ発表者の話を信じて聞きなさいという立場でもない。

ビブリオバトルでの発表者は、生産消費者(プロシューマー)で、読者であると同時にコンテンツを作る人間でもある。自分の感受性や考えを表明する場で、そこでの語りは新たなコンテンツ、新しい創造。群衆の一人だった人が、個性を持って表に出てくる。

本や書評を介したコミュニケーションが、人を知ることにつながる理由はそこにある。ただの文字列である本が僕らに知識を与えたり心を動かしたりするのは、われわれが自分自身の経験や知識に基づいて解釈するから。その読みの上で語るのがビブリオバトルなんです。

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