クルマ無し!「レクサス」新ショールーム戦略 最新テクノロジーもアニメもラグジュアリーに

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なくなっていいけど必要なもの、それがラグジュアリー

:インターセクトでは、クルマを売っていませんが、「CRAFTED FOR LEXUS」(クラフティッド フォー レクサス)というブランドで物販をしていますね。

久保:クルマを買うのは敷居が高くても、もっと気軽にいいものを買って、ラグジュアリーを感じて欲しいということがコンセプトです。日本の「ものづくり」の素晴らしさを発信しているクリエイターひとりひとりとお話をし、ブランドに参加してもらっています。これらを身に着ける先にレクサスを感じていただければと。

インターセクトでは、「CRAFTED FOR LEXUS」の物販も行われている。 高田さんのお気に入りはフレームに備長炭が練り込まれた「金子眼鏡」のメガネ

:お気に入りの作品はありますか?

久保:う~ん、いろいろあるんですけど、「tamaki niime」のショールは個人的に気に入っています。1965年製の力織機で製作している一点もので、触り心地も抜群です。

高田:私は「金子眼鏡」のメガネがお気に入り。フレームに備長炭が練り込まれているという個性的な逸品です。これらの作品も片山さんのときと同じで、われわれが「レクサスをこういうふうにしたい」という思いを語って、匠たちが形にしてくれたもの。主役はそれぞれのクリエーターさんなんです。だから、「BY」ではなくて「FOR LEXUS」なんですね。

:お二人の挑戦は日本発のラグジュアリーブランドをつくること。ラグジュアリーブランドの本質っていうのは?

高田:そうですね……。極端なことを言えば、レクサスがなくなって消費者が困るかと言ったら、そうではないという思いがあります。残念に思う人はいるかもしれないけど、いずれはほかの高級車を買う選択をするでしょう。でもレクサスが行っている取り組みや、提供している出会いのプラットフォームがなくなったら、本気で悲しみ途方にくれる人がいるかもしれない。これは、ルイ・ヴィトンでもグッチでもベンツでも同じだと思うのです。商品そのものより、発信している世界観や取り組みが重要なのであって、それがラグジュアリーブランドの価値だと思う。「なくなっていいけど必要なもの」として生き残るべきなのです。

インターセクト バイ レクサス内で行われた対談。左は聞き手の嶋浩一郎

:なるほど。「なくなっていいけど必要なもの」ですか。非常に難しいプロジェクトだと思う同時に、これからの展開が楽しみです。最後に、今後の抱負を聞かせてください。

久保:とにかくたくさんの人と出会いたいです。レクサスというブランド側の人間ではありますが、世の中の流れを作っている人たちの中にひとりの個人として入っていって、一緒にあれこれ考えていきたい。それこそが、僕の考えるマーケティングです。

高田:心底楽しいと思えることがラグジュアリーの基本なので、固定観念を持たずに新しいことに挑戦していきたいですね。そして、「レクサス独自の視点」を開拓していきたい。高級料理を毎日のように食べていると、たこ焼きを食べたくなるかもしれない。そのたこ焼きも切り口によってはラグジュアリーになる。そういうレクサスならではの切り口を視点にして、奥深いラグジュアリーを語れたらすごくいいと思っています。

:本日はありがとうございました。

(構成:宮崎 智之)

嶋 浩一郎 博報堂ケトル共同CEO

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しま こういちろう

博報堂ケトル共同CEO・クリエイティブディレクター・編集者
上智大学法学部卒業後、93年博報堂に入社、コーポレートコミュニケーション局に配属。企業やブランドのPR・情報戦略に携わる。01年朝日新聞社に出向、「SEVEN」編集ディレクター。02年から04年博報堂刊「広告」編集長。本屋大賞の立ち上げに参画。06年既存の広告手法にとらわれないクリエイティブエージェンシー博報堂ケトル設立。カルチャー誌「ケトル」の編集長もつとめる。
主な仕事:KDDI、J-WAVEなど。主な著書『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』など

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