昔ながらの職人を「金脈」に変えた大胆な発想

技の伝承を標準化、ネットで引退者掘り起こし

元気な関西ベンチャーからイノベーションの源を探る(写真:NHK大阪放送局)
目まぐるしくさまざまな情勢が変わっていく現代は、従来のやり方に固執している企業やビジネスパーソンが淘汰されてしまう時代だ。その際に語られるキーワードがイノベーション。「技術革新の意味に用いられることもあるが、新市場や新製品の開発、新資源の獲得、生産組織の改革や新制度の導入なども含まれる」(コトバンク)という概念である。
NHK大阪放送局が制作する「ルソンの壺」は、3月22日(日)の最新放送回(関西地域で7時45分~8時25分放送)で、ここ3年間に取材した革新的な取り組みを推進する関西企業を再分析し、イノベーションの源を探った。このうちスタジオに招いたのが塗装会社であるKMユナイテッド(本社・京都府)の竹延幸雄社長と縫製会社のヴァレイ(同・奈良県)の谷英希社長。小説家で番組コメンテーターの真山仁氏、司会の渡邊佐和子アナウンサーによる2社長へのインタビューを、番組本編に収まりきれなかった部分も含めてお届けする。

職人を定着させるために作業標準ができた

渡邊 佐和子(以下、渡邊):竹延幸雄社長が経営するKMユナイテッドは、ベテランの塗装職人を多数抱えるだけでなく、そのベテラン職人による人材育成事業にも取り組んでおられます。

竹延 幸雄(以下、竹延):この業界には多くの一流職人がいますが、彼らはフリーランスのような働き方のため、働く場所が毎日変わります。それは業界のしきたりのようなものですが、私の義理の父である先代社長は、そうした職人をいかに定着させるかに腐心しました。それをきっかけとして、作業標準ができたのです。

真山 仁(以下、真山):新たな人材に辞めてほしくないから何とかしようというネガティブな理由ではなく、培ってきた技術を利用して、もっといい環境を作ろうというポジティブな発想から始まっているんですね。

竹延:私たちにとっても、毎日違う人に教えるというのは非効率でしたので。

私は広告会社から転職してこの業界に来たのですが、その業界を専門としている人には、認識の偏りや思い込みのようなものがあると気づきました。人材育成では、「背中を見て覚えろ」というようなことが当たり前になっていて、教える人がいない結果、「教え方がわからない」「教える教材がない」ということに戸惑いました。

真山:昔は徒弟制度もありましたが、今は自分の仕事は、教えることではないと考える職人が多いと思います。しかし、それでは業界全体が縮小してしまいます。

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