昔ながらの職人を「金脈」に変えた大胆な発想 技の伝承を標準化、ネットで引退者掘り起こし
渡邊:いま新型コロナウイルス感染拡大を受けて、産業界でテレワークへの注目が集まっています。ヴァレイのようなビジネスモデルは自宅で作業ができるので、まさにテレワークですね。真山さんはテレワークについてどう考えていますか?
真山:今、働き方改革と称して進められているテレワークは、働く側の人にとってのメリットもないとは言いませんが、企業側にとってかなり好都合である点が引っかかります。
渡邊:どうしてでしょうか。
働き方改革として進めるには違和感あり
真山:会社で机などの必需品を用意しなくて済むし、仕事を提供して、やることさえやってくれればいいというスタンスになると、報酬を支払う以外の管理を、会社が放棄することも可能になるからです。
なので、働き方改革として進めることには違和感があります。本来、自由な場所と時間を使って成果を上げられたら、企業にとっても働き手にとってもよく、ウィンウインではあります。
ただ、両者のコミュニケーションをしっかりとらないと、ビジョンの共有ができなくなります。また、テレワークの最大の弱点は、自己管理ができない人は、いつまでもずるずる仕事が終わらない可能性もあることです。日本人は、苦手な人が多いように思います。
予備校や塾に行かないと受験勉強ができないように、強制的に決まった場所で働かされるほうが楽だと思っている人にテレワークはおすすめできません。寝ても覚めても服を縫うのが好きな人や、翻訳するのが好きな人など、特殊な技術を持つ人や、自己管理が苦にならない人には、テレワークは向いていると思います。
在宅で仕事をすれば病気の感染を防げますが、健康的な生活を考えると、ある程度の外出も大事なので、すべてを自宅でやるのが是ではなく、仕事内容にもよります。いずれにせよプロ意識がないとできない働き方なので、学校を卒業して最初の数年間は、組織の中でいろんなことを学び、その後、独立する形でテレワークをやったほうがいいと思います。
渡邊:職人のような仕事であれば、テレワークができる社会は進んでいきそうですね。
真山:そうですね。問題は、そういう仕事をする日本人がどれぐらいいるかです。少ないと思いますよ。現在の日本の産業構造は、サービス業が圧倒的に多いですし、製造業でも、圧倒的に多いのは営業マンで、テレワークには向いていない人がほとんどです。
テレワークが向いている業界では浸透していくでしょうが、そう簡単に日本の産業構造や働く構造は変わらない気がします。
(構成:二宮 未央/ライター、コラムニスト)
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