昔ながらの職人を「金脈」に変えた大胆な発想

技の伝承を標準化、ネットで引退者掘り起こし

:まずは、知り合いのデザイナーに仕事のことを聞きました。縫製業の営業ツールがFAXなのに対し、デザイナーはスマホで工場を探すというところに、リテラシーのギャップがあることを知りました。

縫製工場は、BtoBのビジネスであるのに、工場の多くは高齢化されていてホームページを立ち上げる人が少なかったのです。かなりブルーオーシャンな状態でした。

真山:ブルーオーシャンだと思えた理由は何ですか。

ヴァレイの谷英希社長(写真:NHK大阪放送局)

:縫製工場はミシンの台数イコール生産性です。ミシンを多く抱えて敷地を広く持っていないといけない。弊社の場合は職人さんの自宅の数だけ縫製工場があるという状態なので、大きな設備も必要なく小規模から始められます。そのため、かなりリスクの少ない状態から小ロット生産ができるようになりました。

真山:デザイナーと縫製士を、インターネットを利用してマッチングしたんですね。

1着300円の技術が1着10万円にも転用できた

:弊社が仕事を発注するまで、法被を1着300円で縫っていた縫製士は、10万円を超えるようなコートを縫える技術を持っていましたが、1日中法被を縫い続けて飽きてきたというようなこともありました。

真山:点と点の情報を適切につなげて線にされましたが、コストはどのように設定されましたか?

:例えば作業に8時間かかる洋服であれば、その地域の時給の8時間分で発注額の見積もりを出します。

真山:デザイナー側の反応は?

:今、工場自体がどんどん海外に移転していて日本は衣料品の自給率が3%を切っていると言われています。「縫製工場が潰れた」とか「縫製士が高齢で退職した」というようなことをきっかけに問い合わせをいただくことが多いですね。

真山:大量生産できない弱みを、小ロットでも対応できて融通が利く強みに変えられていますね。会社や、今後の展開についてどうお考えですか。

:日本の縫製工場を次世代につなぐというビジョンを持っています。もしミシンではなくパソコンであれば、もっとお金が入ってきたかもしれないし、時代にマッチしたのかもしれません。でも、ミシンだったがために、今、斜陽産業に入っている。30年、40年やってきた縫製職人が認められて、世界に挑戦できる社会をつくり、明るい未来をつくるという夢を語っています。

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