自転車操業がベンチャーにとって悪くない理由 「激戦」に生き残る関西の有力3社に学ぶ
ピクルス製造から「裏表のない肌着」へ
渡邊 佐和子(以下、渡邊):まずご登場いただくのはNSW(本社・大阪府泉佐野市)の西出喜代彦社長です。NSWは2012年に起業した会社です。もともとは、西出さんのお父さんがワイヤーロープを製造する会社を経営していましたが、経営不振に陥りました。
その後を継ぐため大阪に戻った西出さんが製造したのは、なんと、ピクルスでした。これが健康志向を意識した女性を中心に話題となり、ヒット商品に。さらに今年、西出社長は、泉州の地場産業の繊維産業にも目をつけ、地域の協力を得て特殊な縫製技術で「裏表のない肌着」を開発しました。
西出 喜代彦(以下、西出):縫い目がフラットで、裏も表も気にせず着られる肌着なんです。
渡邊:売れ行きはどうですか?
西出:立ち上げたばかりなのでまだまだですが、当初想定していた5倍ぐらい売れています。
真山 仁(以下、真山):ピクルスやドレッシングを製造していた会社が、どうして下着を作ることに?
西出:私が子どもをお風呂に入れようと肌着を脱がせていた際、妻から「脱いだら、表に戻してほしい! 洗濯した後、表に返すのが手間だから」と怒られたことがありました。そこで、裏も表もなく着られる肌着を思いついたのです。目の不自由な人や介護の現場などでも需要があると考えました。商品化するには縫い目を平らにする必要があり、赤ちゃんの肌着の製造で使われる、4本の糸が使える特殊なミシンを使用しています。