大阪で鍛えた「車いすの社長」の堅実なビジネス 障害者から見るユニバーサルデザインの真髄
障害者が自らコンサルティングする意味
渡邊佐和子(以下、渡邊):ミライロは結婚式場から墓地に至るまで幅広くユニバーサルデザインについてのコンサルティングをされています。障害のある人の目線が会社としての強みになるんでしょうか?
垣内俊哉(以下、垣内):障害者にとって使い勝手が悪いところに気づくのはもちろんですが、「過度にやらない」のも重要な視点です。例えば宿泊施設で法律や条例を守りながらユニバーサルデザインを追求すると、必要以上に手すりなどを張り巡らせてしまい、病室みたいになってしまう。非日常を楽しみに来ているのに病室に帰ってきたという雰囲気になって、結果的に売れない部屋となってしまいます。「そこまでしなくてもいいんですよ」とブレーキをかけることは、コスト削減という意味でも当事者の目が生きてきますね。
渡邊:当事者だからこそわかる微妙なさじ加減が、コンサルの価値につながってくるってことですね。
真山仁(以下、真山):垣内さんが起業されたきっかけを教えてください。
垣内:転機となったのは大学時代のアルバイトです。パソコンを使って、デザイン制作の仕事をするつもりでその仕事に就きましたが、任されたのは事務職ではなく、外回りの営業でした。
真山:意外ですね。「それはできません!」と言わなかったんですか?