京都の「赤字」鉄道路線に残っていた再生の糸口

高速バス最大手が未経験分野に乗り出したワケ

日本一の赤字鉄道と言われた京都丹後鉄道(旧:北近畿タンゴ鉄道)(写真:NHK大阪放送局)
東京五輪・パラリンピックや大阪・関西万博など大イベントが相次ぎ、日本に世界の人々が訪れる2020~2025年。さまざまな産業に影響がある中で、国籍や年齢に関係なく誰もが自由にストレスなく移動ができる便利な交通網「MaaS」の整備にスポットが当たっている。「モビリティ・アズ・ア・サービス」(Mobility as a Service)の略で、「マイカー以外のすべての交通手段を切れ目なくつなぐ新しい交通網」を意味し、自動車メーカーだけでなく多彩な企業がビジネスチャンスを探っている。
NHK大阪放送局が制作する「ルソンの壺」は、1月26日(日)の最新放送回(関西地域で7時45分~8時25分放送)で大阪市に本社を置くWILLER(ウィラー)の寒竹聖一(かんたけ・せいいち)取締役を招いて話を聞いた。
ウィラーは2006年に始めた高速バス事業ではネット(WEB)で、顧客の潜在的なニーズをキャッチする手法で業界最大手に成長。2015年には、日本一の赤字鉄道といわれた京都丹後鉄道(旧:北近畿タンゴ鉄道)の再生事業に進出した。過疎化に悩む丹後半島で、もともとバスを得意とする会社が鉄道を軸にした新しい交通網をどう確立していっているのか。小説家で番組コメンテーターの真山仁氏、司会の渡邊佐和子アナウンサーによる寒竹社長へのインタビューを、番組本編に収まりきれなかった部分も含めてお届けする。

バスと鉄道は対極の関係

渡邊 佐和子(以下、渡邊):ウィラーは高速バス事業の最大手まで上り詰めたのにもかかわらず、畑の違う赤字鉄道の再生事業に乗り出したのはなぜですか。

寒竹 聖一(以下:寒竹):人の移動が経済を活性化するという視点で見たときに、バスという1つの手段にとどまらず、面を作っていかなければならないと考えました。

地方交通の再生からMaaSの可能性を探ります(旧:北近畿タンゴ鉄道)(写真:NHK大阪放送局)

真山 仁(以下、真山):いずれも移動する手段ですが、軌道があるから渋滞しない代わりに、自由度が低い鉄道は、バスの対極にあるともいえます。一般的に新しいビジネスに乗り出す際は、すでに持っているノウハウを利用して延長線上を狙いに行くことが多い。似ているようでまったく異なる業界に踏み入るのは、ゼロから始めなければいけないことが多かったのでは?

寒竹:おっしゃるとおり、まさに鉄道というものを、われわれ自身が勉強するところから始まりました。この数年は、先代からの技術の継承から始まり、そして地元の方々にどう理解してもらえるかを注力してやってきました。

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