京都の「赤字」鉄道路線に残っていた再生の糸口 高速バス最大手が未経験分野に乗り出したワケ
真山:荷物を運ぶと契約したら、実際に積まなかったとしてもお金が入ってくるという仕組みですね。荷物の大きさは関係ないのですか?
寒竹:載せないときもお支払いいただくので、そこのスペースに入る分になります。移動倉庫みたいな感じですね。
真山:契約者が増加しても対応できるだけのスペースはあるんですか?
寒竹:あります。契約者は、積めば積むほど1個あたりの運賃ベースは下がっていきます。そのためどんどん積もうと思いますし、われわれはそれで安定的な収入が入ります。生産者は輸送が楽になり、販売者も安定的に良質の商品が入り、三方が得をします。
真山:確かに、新しい収入源の1つになりますが、根本的には乗客が増えないとボトムアップはできません。地元に住民が少ないという現実がある中で、これ以上利用者を増やすために、どのような対策をしていますか。
地元と一体になった取り組み
寒竹:高速かつ大量輸送という鉄道のメリットをどう生かすかということになります。地方に行けば行くほど人口がどんどん減っていくので、そこに人を呼ぶというのがインバウンドですが、それ以上に鉄道の駅の先の目的地までどうしたらよいのか、という問題が出てきます。われわれはまず、空白地帯を研究しているところです。
真山:駅から先をよりよくできたらもっと利用者が増えるので、空白地帯となっている場所を探しているということですね。駅をより快適にするための、利用者からの要望はありますか?
寒竹:あります。例えば「小腹が空いたのに何も売っていない」という声に応えて、その駅の特色を生かしたカフェを地元の人と一緒にオープンしました。
また、観光列車はいつでもそこに走らせるというメリットはありますが、単線のため入れ違いで1時間ぐらい停車しなければならないというようなことがあって、デメリットになっています。そこを逆手に取って無人駅で「ここに観光列車が1時間止まります」とアナウンスすると、地元の方々がわーっと来て、そこでいきなりマルシェ(市場)を始めたりもします。
真山:それはたくましいですね。
寒竹:地元の方々も一緒になって、観光列車を盛り上げています。無人駅も地元と一体になっていくと可能性が無限に広がっていくのです。
真山:“何もない”は、逆に言えば何でもできるということですね。
(構成:二宮 未央/ライター、コラムニスト)
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