京都の「赤字」鉄道路線に残っていた再生の糸口 高速バス最大手が未経験分野に乗り出したワケ
真山:京都丹後鉄道の利用者は外国人観光客が多い印象ですが、日本人の観光客を取り込むプランはお考えですか?
寒竹:実はウィラーは約550万人もの会員を抱えていて、日本人が多いんです。サービスの本質をついていくと、外国人も日本人も本当は関係ありません。大事なのはいかに観光を楽しんでもらうかという視点です。
ただし、外国人の訪日旅行であるインバウンドのマーケットが実際にどんどん巨大になっているのは事実なので、やはりそこはそこで外せない部分ではあります。
渡邊 :独自のサービスは展開していますか。
旅客のものではない荷物も鉄道で一緒に運ぶ
寒竹:貨客混載をやっています。お客さまだけではなくて旅客のものではない荷物も鉄道で一緒に運ぶサービスで、都市型だと間に宅配業者が入るんですが、弊社の場合は宅配事業者を介さないのが特徴です。
実際に使っていただいている典型例は農家のお客さまです。地方都市ではこういうサービスがなかったので、農家は自分で作った農産物を直販店のある道の駅に運ぶのに例えば車で片道1時間ぐらいかかることもあって、困っていました。そこで、農産物を最寄りの鉄道駅まで持ってきてもらい、勝手に積んでもらって列車で道の駅の最寄り駅まで運ぶというサービスを展開しています。
渡邊 :積まれた荷物は、その後どうなるのですか?
寒竹:荷物を積んだ列車が道の駅の最寄り駅に到着すると、道の駅のスタッフがその荷物を取りに来ます。例えば農家の人が今まで荷物を運ぶのに車で1時間かかったのが、最寄りの鉄道駅まで10~15分になることもあって、負担が軽くなるんです。
農家も高齢化していて、高齢者ドライバー問題もあります。事業者が間に入るのではなく、関係者がすべて直接スキームを作って、お互いが協力してやりましょう、というように行っています。
真山:運ぶ荷物はどこに積まれるんですか?
寒竹:貨客混載スペースがあり、荷物が積まれるときは「ここは空けてください」という貼り紙をしています。占拠されるスペースがあるため、小人運賃に等しい運賃を、積もうが積むまいがいただいております。そうすることで、普段空いているところにその分の運賃が入ってきます。