「鉄道が消えると街は廃れる」はウソだった! 北海道・増毛「廃線で困ったことは何もない」
鉄道がなくなると、街は廃れる――。
このところ各地で相次いでいる“鉄道廃止”をめぐる議論やうわさ。今春にはJR三江線が廃止されたし、来年4月1日には北海道のJR石勝線夕張支線(新夕張―夕張)が地図から姿を消す予定だ。ほかにも、廃止の危機が叫ばれる鉄道路線は少なくない。そして、そんな話題になると必ず出てくる声が、冒頭のそれである。はたして鉄道の廃止は、街をどう変えてしまうのだろうか。
廃線で困ったことは特にない
北海道増毛町。ここには、1年5カ月ほど前まで鉄路が通じていた。しかし、2016年12月にJR留萌本線留萌―増毛間が廃止された今は、鉄道の消えた街。廃線直前には多くの鉄道ファンでにぎわい、運行最終日には増毛駅前の広場で盛大なセレモニーも行われるなどお祭りムードで盛り上がった。増毛駅は高倉健主演の映画『駅 STATION』の舞台のひとつ。いわば、町にとっては重要な観光資源のひとつだ。そんな増毛の町から鉄道が失われて、変化はあったのか。
「いや……正直なところ、何も変わりませんよ」
増毛町の担当者は苦笑い混じりにこう打ち明ける。
「もともと地元の人たちはマイカーか、公共交通機関でも廃止された留萌本線と並行して走っていた沿岸バスを使うケースがほとんど。廃線が日常生活に影響を及ぼして困っているということはありません」
留萌本線の現役時代から、地元の人はほとんど鉄道を使っていなかったというのだ。
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