「鉄道が消えると街は廃れる」はウソだった! 北海道・増毛「廃線で困ったことは何もない」

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留萌本線留萌―増毛間のライバルと言える沿岸バスが運休になるのはせいぜい年に1日か2日程度。それに対して、1~2カ月の運休が風物詩となっていたという留萌本線。運転本数も目的地への利便性もバスが優位に立っていたとなれば、廃止というのは避けられない流れだったのだ。そして、以前から鉄道を使っていなかった町の人にとって、廃線が及ぼす暮らしへの影響はほぼゼロである。

ただ、鉄道が果たす役割は地域の人々の輸送だけではない。観光などで町を訪れる人を運ぶ、すなわち交流人口増加への貢献という点も見逃すことはできない。特に増毛駅は町の中でも特に知られる観光スポット。観光客の来訪者数には影響は出ていないのだろうか。

「それもほとんどありません。増毛町は毎年平均すると250万人程度の観光客に来ていただいています。留萌本線廃止直前にはその影響で来る人も増えましたが、廃止以降目立って減少しているというデータはない。増毛町の観光客のほとんどはマイカーやレンタカー、観光バスで来ますから」(増毛町担当者)

駅は観光スポットだが…

鉄道現役時代から、そもそも鉄道が通っていることすら知らずに来る観光客もいたという。増毛駅こそ観光スポットとなってはいても、鉄道で訪れるケースは少なかったのだ。それもそのはず、札幌から増毛を訪れるとなれば、鉄道だと函館本線の深川経由で本数の少ない留萌本線への乗り換え。時間にして3時間近く要する。対してクルマなら札幌から2時間少々だ。時間の自由も効くし、わざわざ鉄道を使う人は少数派というのも納得である。

「鉄道の廃止をきっかけに町が退潮ぎみということもありません。もともと増毛には古い建物が多く、その雰囲気を好んで来ていただく方も多い。札幌から近いという強みもありますし、最近では町外の方がカフェなどを開店するケースも少ないながら出てきています。メディアの方は、鉄道がなくなると不便になって町が廃れて……と言いたいのかもしれませんが、少なくとも増毛町ではそのような影響が出ているとは言えません」(増毛町担当者)

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