昔ながらの職人を「金脈」に変えた大胆な発想

技の伝承を標準化、ネットで引退者掘り起こし

渡邊:若手を育成して増やす取り組みは、なぜ今、定着したのでしょうか。

竹延:日々の作業の分解から分析した結果です。若い職人たちを入れるためには、どういう仕事を入れて、どのようにキャリアアップしていくかを考えなければなりません。

一人前に育っても、一流職人と同じステージでは自分らしさを発揮できません。そのため、付加価値のある仕事を提供する必要がありました。例えば、ホテルのバーやアミューズメントパークの壁など人目にさらされる箇所の一部を限定して仕事にすることで「この建物のここは自分がやった」というように。

小説家で番組コメンテーターの真山仁氏(右)と司会の渡邊佐和子アナウンサー。NHK「ルソンの壺」は関西の“キラリと光る”企業や団体を取材し、ビジネス成功の秘訣を伝える番組。最新回は3月22日(日)、NHK総合の関西地域で7時45分~8時25分放送です(写真:NHK大阪放送局)

真山:没個性の仕事を、個性化する試みはユニークですね。それが今までとは違う、ある意味、師匠を超えられるチャンスにつながります。

竹延:1つのことだけを研ぎ澄ましていくことで、今まで10年20年も長く働くという、年数だけではできなかった仕事をできる職人が現れ始めました。

真山:「一芸を伸ばせ」の実践が花開けば、相互の自信となりますし、相乗効果も期待できそうですね。

在宅で働ける縫製士をネットで集った

渡邊:続いて谷英希社長に話を伺います。谷さんが経営するヴァレイは高い技術が求められるオーダーメイド服の縫製を主に手がけておられ、生産数は1着から30着程度です。多くの縫製工場にとってオーダーメイド服は効率が悪く採算は合いません。そこに目を付けて、引退した縫製士や地方の小さな工場に声をかけてネットワーク化。それぞれの作業場で縫製してもらうという新たな仕組みを作っています。谷さんは何をきっかけに、縫製士を取りまとめる会社を設立されたんですか。

谷 英希(以下、谷):自社でホームページを作ってみたところ、注文がたくさん舞い込むようになりました。一方で、実際に服を縫う人が足りなくなってきたのでインターネットで縫製士を募集したところ、「在宅であれば縫えます」という、結婚を機に仕事を辞めて家で働いていた方がいて、これはいけると思ったことがきっかけです。私の母が営んでいた縫製会社では、仕事がない閑散期に縫製士から「仕事をくれ」とよく言われていましたから、その経験も生きました。

真山:とはいえ、ホームページを作っただけでは砂漠の中で針を探してもらうようなものです。広く周知するために、どのようなことをされましたか?

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