岩田健太郎「非科学的なコロナ対策が危ない」 クルーズ船の失敗を繰り返してはならない

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――動画を、わずか2日で削除してしまったのはなぜですか?

場外乱闘が起きてしまったから。正しいと言う人たちと、そうじゃないと言う人たちの間で場外乱闘が起きてしまった。論争は私が望んでいたものではないし、私はそもそも、国や厚労省の対策はおおむねうまくいっていると言い続けていた。にもかかわらず、そういう論争の道具にされてしまっている状況が嫌だった。

――3月2日から全国の小中高で一斉休校が始まっています。感染症対策の観点から、この施策の効果をどのようにみていますか?

よくわからない。子どもたちは感染リスクが低く、重症化や死亡リスクがほとんどないと言われている。感染伝播の中心でもないと言われている。その中で学校だけ一斉に休むというのは理解できない。

例えば、イタリアでも学校が休みになっているが、保育園も大学も全部休んでいる。感染が急速に広がっている地域では活動がストップしている企業もある。その一環として学校も休ませているわけだ。台湾や香港も同様で、日本だけが小中高のみ休ませるのは意味がよくわからない。

軽症型ウイルスゆえの怖さ

――新型コロナウイルスそのものについて、多くのデータが蓄積されてきました。特徴や危険性をどう評価していますか?

本当に厄介なウイルスだ。大体の人は勝手に治ってしまうが、そこが逆に怖いわけだ。感染しても8割くらいの人は自然治癒する風邪のようなウイルスなので、日常生活を送りながら感染が広まってしまう。インフルエンザのように、40度の熱が出て動けなくなってしまうということがない。感染が非常に広がりやすい、気がつきにくいウイルスだ。

裏を返せば、感染した人の2割はよくならない。一部の人たちは重症化してしまう。そして数%の人は亡くなってしまう。数十人規模しか患者がいないときは死亡率が非常に低いので問題にならないが、感染者が数万人規模になると、多くの人が亡くなってしまう。一見、ウイルスが軽症型であるということが、まさに怖さでもある。

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