岩田健太郎「非科学的なコロナ対策が危ない」 クルーズ船の失敗を繰り返してはならない

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――どこまで検査をして、どこからしないのか。その線引きは難しいです。

線引きは確かに難しい。今の日本以上、韓国未満のどこかが適切だと思う(編集部注:新型コロナウイルスの検査数は韓国に比べ日本は大幅に少ない)。ただ、みんなが不安だからという理由で検査をするのは間違いだということは確かだ。

なぜなら、そもそも検査は間違えるものだからだ。検査が陰性であればウイルスに感染していないというのは神話である。したがって、検査を根拠にウイルスがいるとかいないとかを結論づけてはならない。

入院した患者は、今は検査を2回やって陰性だったら退院することになっている。だが、陰性になっても、また陽性になる人も出てくる。検査が治った証明にならないのであれば、検査をする必要はない。むしろ症状がよくなって元気になったら退院して、その後数週間は自宅待機としたほうが合理的だ。

確証のある治療法は存在しない

――治療薬の開発が進んでいます。期待しているものはありますか?

可能性のあるものにはすべて期待している。ただフタをあけてみないとわからない。今言えるのは、「これが効く」という、確証のある治療法がないということだけだ。

――「こういった薬を投与したら効いたようだ」というニュースが毎日のように出てきます。

そういうニュースをいちいち大げさに捉える必要はない。何もしないで治っている人が8割いるのだから。その中の誰かに、偶然何かを投与したら、その後しばらくして症状が軽くなったというだけの話かもしれない。

「Aが起きた。その後にBが起きた」というストーリーを、「Aが起きたからBが起きた」という因果関係のあるストーリーにするには、もう何ステップかのデータの蓄積と解析が必要になる。今あるデータだけでは何とも言えない。

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