モテ過ぎるダメ男の、とほほなセックスライフ ケーブルテレビ局だから可能な大胆エロ描写が満載

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視聴料で成り立っているから、大胆なエロ描写も可能

放送局は、野心的でエッジの効いた作風で多くのヒット番組を抱える、プレミアム・ケーブルテレビ放送局(基本料金で視聴できるベーシック・ケーブルテレビ放送局に対して、特別料金が必要)のShowtime(『デクスター』『HOMELAND/ホームランド』などを放送)。

本作の大胆なエロ描写を可能にしている理由は、プレミアム・ケーブルテレビ局が視聴料で成り立っているため、スポンサーへの配慮が必要なく、表現の規制が少ないから。そのため、「FU●K」などの決して地上波の番組では使えないダーティなNGワードも、バンバン登場する。エロでもバイオレンスでも、R(17歳以下は保護者同伴)のレーティングがつく映画並みの過激さは、プレミアム・ケーブルテレビ放送局の専売特許だ。

しかし、ShowtimeやHBO(『SEX AND THE CITY』『ザ・ソプラノズ』などを放送)といったプレミアム・ケーブルテレビ放送局の作品群には、批評家受けがよく完成度の高い作品が多い。それは、表現の規制の少なさを利用して視聴者の興味を引きながら、過激で刺激的な題材を、創造性と見応えのあるドラマへと昇華させている質の高さにほかならない。2000年代にアメリカのTVドラマのクオリティが飛躍的に高くなったのは、抜群の普及率を誇るケーブルテレビ放送局のオリジナル番組の台頭によるものである。

『カリフォルニケーション』はジャンルでいえばコメディだが、1話30分の中にはさまざまな人間ドラマが盛り込まれており、ラストに苦い余韻を残すエピソードも少なくない。

恋愛や結婚に迷えるシングルにとっては、「家族って当たり前だと思わないで」「あなたは愛という概念を愛しているだけ」といったカレンのセリフなどに、ハッとさせられるかもしれない。

一方で、「女あさりはやめとけ、マイケル・ベイの映画より空っぽな気分になる」なんてうそぶく、ハンクの業界ネタを交えたセリフの数々は、シャレや毒気が効いていてニヤリとさせられる。

アメリカでは、4月から放送となるシーズン7で完結する予定だ。どんなオチがつくのか今から楽しみだ。現実的にはこんな男はイヤだが、ドラマで見るだけなら大歓迎という女性は多いはず。

一方、日々仕事でも家庭でもさまざまな決断を強いられ、責任や覚悟を求められる疲れたビジネスマンにとっては、“モテる”以上に、ハンクの優柔不断さ、無責任で気ままな生き方こそが、うらやましく映るかもしれない。

今 祥枝 映画・海外ドラマライター

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いま さちえ / Sachie Ima

東京女子大学文理学部卒。大学在学中、専門学校で映画製作の基礎を学び、卒業後は出版社で雑誌編集業務に携わる。28歳で映画・海外ドラマを専門とする現職に。『BAILAバイラ』で「今ドキ シネマ通」、『日経エンタテインメント!』で「海外ドラマはやめられない!」ほか、女性誌・情報誌・ウェブ等で連載中。著書に『海外ドラマ10年史』がある。

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