刑事ドラマ+法廷ドラマの2部構成
アメリカのドラマは、実によくそのときどきの社会を反映している。映画でも実話をベースにした作品は多いが、企画から何年(規模にもよるが10年単位が普通)もかけて公開に至る映画に比べて、TVドラマは制作のスパンが短い分、よりダイレクトに“今”を描いている。
そして、アメリカで起きたことは数年遅れて、日本でも起こると言われ、そのスピードは加速していると考えられる。
第9回は、クライム・サスペンスの金字塔『LAW&ORDER/ロー・アンド・オーダー』を紹介する。刑事ドラマ+法廷ドラマの要素を持つ娯楽作ながら、一流の社会派エンターテインメントとして非常に優れた長寿シリーズだ。
世界の観光地であり、人種のるつぼである大都市マンハッタン。ニューヨーク市警(NYPD)27分署の刑事たちは、日々、休みなく街の治安を守るべく、凶悪犯罪の捜査に当たっている。
毎回、冒頭のアバン(オープニングに入る前のプロローグ)で事件が起こり、1時間弱のドラマの中で約半分程度の割合で、容疑者の逮捕までを描くのが基本パターンだ。
そこから先は、検察の出番となる。容疑者は起訴され、裁判が行われる。この過程で、検察が刑事の捜査の裏付け、または疑問が浮上したり新事実が出てきた場合は、検事補が現場に赴き、聞き取り調査や刑事のような仕事をすることもある。反対に、刑事たちが法廷で証言を求められることもある。
最終的には、陪審員制による裁判(例外もある)によって判決が出て、量刑が決まるところまでが描かれる。つまり、『LAW&ORDER(法と秩序)』というタイトルが示すように、本作は正味1時間の中にアメリカの刑事法体系を凝縮して描いているのだ。
「LAW&ORDER/ロー・アンド・オーダー〈ニューシリーズ1〉」予告編
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