「ワーク・ライフ・バランス」の呪縛
ワーク・ライフ・バランスという言葉は、いつからこれほどスタンダードになったのだろうか?
「仕事と生活の調和」を取ることは確かに大切だが、ワーキングマザーにとっては理想を言えばキリがなく、悩みの尽きない問題だろう。子育て、家事、仕事、いずれも一生懸命になればなるほど(まじめな人ほど)、あれもできていない、これもできていないというマイナス思考にとらわれて、いっぱいいっぱいになってしまう女性も少なくない。
第10回は、ワーク・ライフ・バランスがまったく取れていない看護師ジャッキーのぶっ飛んだ日常を、ブラックなユーモア満載で描いた『ナース・ジャッキー』を紹介する。
ニューヨークのオールセインツ病院で働くジャッキー・ペイトン(イーディ・ファルコ)は、24時間体制で休みなく救急患者が運ばれて来るER(救急救命室)を切り盛りするベテラン・ナースだ。極めて優秀ではあるが、業務があまりにも過酷で慢性的な過労に激しい腰痛を抱え、鎮痛剤を常用している。仕事にやりがいも感じている一方で、長女グレース、次女フィオナの幼い娘たちの母親としても精いっぱい頑張っているつもりだ。
そんな妻に対して、夫のケヴィンは優しく理解を示し、とても協力的だ。にもかかわらず、ジャッキーは職場では結婚指輪をはずして既婚者であることを隠し、薬剤師エディ(ポール・シュルツ)とは不倫関係(!)にあった。
自分がついているウソと日々の仕事のプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、職場と家庭でギリギリのところで踏みとどまるジャッキーの日常は、まさに一触即発の危険をはらんでいるのだった。
『ナース・ジャッキー』予告編(英語版)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら