中国・新型コロナ「遺伝子情報」封じ込めの衝撃 武漢「初動対応」の実態、1万3000字リポート

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財新の調査によると、2020年1月19日までにGISAIDのプラットフォームには、全部で13のサンプルの新型コロナウイルス遺伝子配列がアップロードされている。日本とタイからの3つを除けば、残りの10個の遺伝子配列はすべて中国の研究機関がアップロードしたものだ。サンプルの採集時期から見ると、最も早くアップロードされたのは前述の2019年12月24日に採集された中国医学科学院病原所によるものだ。

また8つのサンプルは12月30日に採集されており、それぞれ武漢市金銀潭医院と湖北省疾病管理センター(1つ)、金銀潭医院と中国科学院武漢ウイルス研究所(5つ)、中国疾病管理センター感染病予防管理所(2つ)となっている。このほか、中国疾病管理センターウイルス予防管理所は2020年1月1日に採集したサンプルの遺伝子配列もアップロードしている。

『湖北日報』の報道によると、12月30日当日、金銀潭医院の張定宇院長が、当該医院で最も早く治療を開始した7人の患者の気管支肺胞洗浄液を採集し、中国科学院武漢ウイルス研究所に送付し検査を行っている。

業界内の平均検査周期が3日であること考えると、1月2日ごろまでには前述の12月30日に採集された8つのサンプルの遺伝子シーケンス検査結果は出ていたはずだ。

中国科学院武漢ウイルス研究所は公開文『武漢ウイルス研究所が全力で新型コロナウイルス肺炎の科学研究を展開』の中で、「12月30日夜、ウイルス研究所は金銀潭医院から送付された原因不明の肺炎のサンプルを受け取って72時間にわたる検査を行い、2020年1月2日に新型コロナウイルスの全遺伝子配列であると確定し、1月11日にGISAIDにアップロードした」と発表した。

前述の『中華医学ジャーナル』(英語版)で発表された論文でも2019年12月24日から2020年1月1日までの9日間で、5人の患者の肺胞洗浄液サンプルが採集され検査と分析に回された旨が記されている。またこの5人の内2人は華南海鮮市場との接触歴がなかった。

最終的に「新型」コロナウイルスと確認

5人の患者の内、前述の65歳の患者のサンプルを除く3人の患者のサンプルの採集時間は2019年12月30日であった。その中の2番目の患者は華南海鮮市場で働く49歳の女性で、12月22日に発熱とせきが出始め、5日後に呼吸困難が起こったため入院し、12月29日に集中治療室に入った。3番目の患者も同様に女性で52歳、12月22日に発病し29日に入院。しかし彼女には海鮮市場との接触歴はなかった。

4番目の患者は41歳男性で、12月16日に発熱とせきが出始め22日に入院した。この男性も海鮮市場との関連はなく、前述の武漢市中心医院で診断を受けた武昌の会計士だということがわかる。5番目の患者の肺胞洗浄液サンプルは2020年1月1日に採集された。

彼は華南海鮮市場で働く61歳の男性で、慢性の肝臓病と腹膜偽粘液腫(訳注:腹腔内に広範囲にゼラチン様物質が貯留した疾患)の持病を持っており、発熱、せき、呼吸困難の症状が7日間続いた後、現地の病院に入院した。1月2日にECMO(訳注:人工肺)を用いての救命措置を開始したが病状が回復せず死亡した。

当該論文は「ある種の新型コロナウイルスはこのように実験室で識別され、SARSウイルスの塩基配列との類似度が79%に達しており、組織の発育において最も類似しているのがコウモリの持つSARSに分類されるコロナウイルスであったが、単独進化分岐のβコロナウイルス属の遺伝子配列を形成していた。ウイルスを分離しての形態の確認と血清学的検査を行った後、最終的に当該病原体が一種の新型コロナウイルスであることが確認された」としている。

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