震災被害と戦う「熊本の秘湯」復興までの4年間 「地震被害は4年くらいでは何も片付かない」
度重なる災害で「約20億円」の損害
「地震だけだったら、もっと早く営業再開できたでしょう。その後の豪雨が致命的でした」
そう語るのは代表取締役の河津誠さん。地獄温泉は河津家長男の誠さん、次男の謙二さん、三男の進さんが中心となって運営している。
2016年4月16日の熊本・大分地震の本震で施設が損壊した地獄温泉は、周辺道路が寸断され、当時51人いたスタッフと宿泊客はヘリで救助された。この地震による被害で水道や温泉のパイプはほぼすべて破損し、浴槽や床にヒビが入る。落ち着いたころ、河津さんらは連日避難所から修復作業に通った。
しかし、本震から約2カ月後、2016年6月20日夜から6月21日未明にかけて九州各地を記録的な大雨が襲う。熊本各地で河川の氾濫や土砂災害などが発生し、地獄温泉背後の夜峰山(よみねやま)では大きな土砂崩れが起きた。
「大雨の後、役場から状況がよくないと連絡が入りました。兄弟3人で歩いて様子を見に行ってみたら、土石流がまるで川のようにあたりをのみこんでいて……。旅館は土砂で埋もれてみるも無残な状態でした」
2カ月かけてパイプや浴槽の修復を進めてきて、ようやく光が見えてきたところだった。
「それでも、いちばん被害の大きかった泉源の元地獄・たまご地獄を見に行くと、土砂の隙間からぷくぷくと源泉が湧き続けていたんです。その様子を見て『よし! もう一度頑張るか』と決意しました」
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