競争優位性はどこにある?
動画市場の成長性はあるが、クラウドソーシングという形態で売り上げを伸ばしていくことはできるのか。クラウドソーシングはバーティカル型が総合型に規模感で勝ることはなく、総合型クラウドソーシングの1強か2強体制になると筆者は考える。
現に国内でもデザイン特化型のデザインクルーや、音声特化型のGroodというバーティカルクラウドソーシングがあるが、いずれも伸びているようには思えない。はたしてバーティカル型クラウドソーシングは成り立つのか。
「バーティカルなアプローチで成功できるかという観点では、楽天に対するZOZOTOWNがいい事例だと思います。楽天でもファッションは扱っていましたが、世界観の違いからか、ZOZOTOWNのファッション特化型の追随を許したという背景があると考えています。映像クリエーターのような希少性の高い人材をグリップできれば、活路は見いだせると思います」
確かに総合型クラウドソーシングでは動画制作案件はあまり見かけない。上坂氏によると、Viibarに登録している映像クリエーターは総合型クラウドソーシングにはあまり登録していないようだという。映像クリエーターは8種類の職種から成り立っている。「監督」「アニメーター」「ナレーター」「脚本家」「エディター」「役者」「カメラマン」「音楽家」。それぞれがプロジェクトごとにチームを組む働き方であり、外部ネットワーク性が高いがゆえに口コミが生まれやすく、登録クリエーターは口コミで広がっているという。
動画制作のほうがデザインや音声単体よりも複雑であるがゆえに、コモディティ化しにくいといえる。クリエーターをネットワーク化できれば、競争優位性を築けるだろう。
スタートアップ企業の中ではKAIZEN PlatformがViibarにいちばん近しいモデルかもしれない。同社はグロースハックツール「planBCD」の提供と、グロースハッカーのクラウドソーシングの2つのサービス展開をもくろむ。KAIZENではグロースハッカーという希少資源を囲うことが競争優位性になる。
スケール感に関しては、バーティカル型への疑問を拭い切れないが、複雑な動画制作の領域は総合型がカバーしにくいジャンルであるという点は同意でき、一点突破で活路を見出せる可能性が高いと筆者は感じた。
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