そんな状況が当たり前だったので、ネットフリックスがサービスをスタートして1年目に24万人近い加盟者を魅惑したのも、うなずけることだ。
「何かを”アマゾン風”にやりたい」からのスタート
創業者であるヘイスティングスがネットフリックスのサービスを思いついたのは、自身が遅延金を課された腹立たしさからだったとされている。『アポロ13号』のDVDの返却が遅れて40ドルもの遅延金を支払うことに。悔しい思いでスポーツクラブへ向かったら、そちらのモデルのほうがずっと親切だと気づいた。何度行っても同じ会費。これをDVDでやればいいと考えたのだ。
ただ、この面白い創業物語は、実は後から作ったものらしい。本当のところは、「何かをアマゾン風にやる」というネット・ビジネスを始めようと探していたときに出てきたアイデアだったという。
CDを自宅に郵送したみたところ、傷もつかずに到着。これをDVDでやれると見込んだ。最初はDVDのオンライン販売を手掛けようとしたが、アマゾンやウォルマートなどの大手にはとうてい勝てまいと見極めて、レンタルに変更。当初は普通に遅延金も課す1本ごとのサービスにしていたが、すぐに定額制に切り替えた。そこから人気に火がついた。
さらにネットフリックスでは、2007年からインターネットでのストリーミングサービスを開始している。これならば、郵送の手間すらなく、クリックするだけですぐに映画が見られる。しかも、料金は同じく1カ月7.99ドルで、無制限のストリーミングが可能だ。
独自コンテンツにも進出
ネットフリックスのコレクションは、最新映画だけでなく、古い映画、世界の映画、子供向け映画、テレビ番組など、幅広いのが特徴だ。また、最近は独自のシリーズ番組も製作している。
政治ドラマ『ハウス・オブ・カーズ』や、女性の獄中物語『オレンジは新しいブラック』は、人気のテレビ番組と同じように話題をさらっている。レンタル・ビデオ屋がこんなことに乗り出すとは、誰に想像できただろう。
こうして、今やアメリカで3350万人近い会員を持つネットフリックスは、いくつもの方法で消費者が映画を楽しむ方法を変えてしまった。キーは、便利さと安さ、親切さだ。レンタル大手のブロックバスターが倒産してしまい、路面のレンタルショップはなくなった。いつでもどこでも見たいものをオンデマンドでクリックできるようになった。テレビ画面だけでなく、コンピュータ画面やモバイル画面もそこに含まれている。
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