在日米軍移転はなぜ必要なの?(1)~アメリカの事情~

在日米軍移転はなぜ必要なの?(1)~アメリカの事情~

民主党参議院議員・藤末健三 

基地移設だけが米軍再編ではない

 米軍のグアム移転は、世界規模で行われている米軍再編(ミリタリー・トランスフォーメーション)の一部です。

 米軍にとって、米軍再編は、基地の移設だけの問題ではありません。大きくは、【1】情報通信技術による軍事革命(RMA)に米軍を対応させること、【2】軍事衝突といった従来型脅威だけでなく、テロの脅威に軍を対応させること、【2】「不安定の弧」(バルカン半島、北アフリカ、中東・湾岸、南アジア、南東アジア、北東アジア、この6つの地域を含む広大な弧を描く地域)の東端にある北朝鮮や、軍事力拡大に励む中国への対応などが根底にあります。

 私は昨年5月にワシントンで米軍の将校たちと話をしましたが、その中に再編を担当する将校がいました。彼からは「兵力の配置転換や隊の構成変更、そして、兵士の装備高度化などの様々な再編(トランスフォーメーション)が世界レベルで行われている。基地の移設だけが再編ではない」との説明を受けました。

 例えば、ヨーロッパにおいて米軍は、「ロシアの脅威」から「イスラムの脅威」へのシフトを行っていると言えるでしょう。具体的には、英国にある米海軍の司令部をイタリアに移設。空軍はトルコ方面に移し、駐独兵力を二個師団減らします。これまでの、ドイツ大平原での戦闘に備える体制から、中東方面からの脅威に対応する体制へのシフトを行っているわけです。

ハイテク化する歩兵

 米軍将校の話を聞きながら、兵士の再編(兵士のRMA)について、数年前に見た「米軍歩兵の情報化」というアメリカの番組を思い出しました。この番組のテーマは、新しいハイテク歩兵についてです。歩兵にGPSとカメラが付き、戦場のリアルデータをそのまま後方の本部に送るとともに、周りの敵味方の配置が本部から兵士に送られ、兵士は後方からのミサイル援護射撃を簡単な操作で要請できるという仕組みです。

 すなわち、一人で小隊分の仕事をするようになるというわけ。ほとんどSFの世界です。「こりゃすごい!」と当時は思いましたが、アメリカは、なんでもガンガンやっちゃいますね。年間50兆円近くの軍事予算(わが国の国債費一般歳出は約46兆円)を持っていますからこそ成せる技です。今思うと、テロ対策や軍・兵士の再編はかなり前から始まっていたということですね。さすがアメリカは戦略的です。

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