「若者の本離れ」がこんなにも加速した5つの理由 今や「マンガでさえ」昔よりも読まれていない

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学生時代の原体験から、読書=苦行という認識になったままだから、文章からイメージすることが面倒に思えてしまう。あるいは、その能力が、本を読む人より減退しているのかもしれません。

では、マンガはどうなのでしょう。マンガは、ビジュアルが初めからあります。でも、これはあとで知り合いの編集者から聞いたのですが、今やマンガも若い人には昔ほど読まれていないそうです(それはそれで、また衝撃でした)。

なぜなら、そのビジュアルが勝手に動く、アニメがあるから。ビジュアルが動いて(喋ってもくれる)コンテンツがあるのに、なぜ動かないビジュアル=マンガをいちいち読まなきゃいけないのかということです。マンガですらこうなのですから、そもそもビジュアルを自分でいちいち想像しなければいけない本を、なんで読まなきゃいけないのかと思う気持ちはわかります。

ここまで、4つの理由を聞いて、僕はなかなか衝撃でしたが、それでもまだ、なんとなく予想できる回答でもありました。少なくとも、読書しない人の本を読まない理由を、本が好きな僕が察すると「こういう答えが返ってくるだろうな」と想像できたものだからです。まあ、支持するかしないかはさておき。

でも、Aさんから最後の5つ目の理由を聞いて、僕は驚愕してしまいました。

僕にとって想像を超える答えが返ってきたのです。

理由その5 「ネットのほうが便利だから」

ネットのほうが便利。つまり「読書は不便」ということらしいです。今度こそ、僕は超特大の衝撃を受けました。

僕には読書を、本を読むという行為を、今まで「便利か不便か」という枠で捉えたことがなかったからです。読書という行為の修飾語として、便利とか不便とか、そういう言葉自体を頭に想像したことが、僕には今までありませんでした。「楽しいか、楽しくないか」ならわかります。「面白いか、つまらないか」も理解できます。

でも、Aさんにとっては、そもそも読書がそういう枠内のものではなかったということです。定義からして違ったわけです。

衝撃を引きずったまま、僕はAさんに問いを続けました。

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