がん患者悩ませる「脱毛症状」は治療できるのか 外見変化に対応するアピアランスケアとは

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このように、がん患者の頭髪治療を行うときには、主治医との連携と、患者との綿密なカウンセリングによる精神的なサポートやケアが重要です。Aさんは頭髪治療を始めてから主治医とも打ち解けられるようになり、いずれの治療にも前向きに取り組んでいます。

がんの治療が終わり、約1年から1年半もすれば、髪はまた生えてくると言われることが多いのですが、実際にはもっと時間がかかる人もいます。また、生えてはきても、髪質が細くなったり、毛量が少なくなったりすることもあります。

そんなときに、発毛を促したり、健康な髪を育てたりする頭髪治療というアプローチがあることを知っておけば、多くの人の救いになるはずです。しかし、がん専門の医療機関でも、頭髪治療に関する情報はほとんど提供されていないのが現状です。

外見変化に強いストレスを感じる人も

がんの治療中は治すことに専念していても、社会復帰が考えられるようになると、がんそのものよりも、外見の変化に強いストレスを感じてしまう人も少なからずいます。

Bさん(60代)は肺がんが再発したとき、入院中に外出許可を取って、クリニックを訪れました。入院中と聞いたので、とにかく今は、がんの治療に専念してください、とお話ししましたが、以前の治療で脱毛してしまった苦痛が忘れられず、今からできることをしておきたいと言われました。

がんの治療が最優先となる状態でも、脱毛を避けたいというBさんの言葉を聞いて、女性にとって髪はそれほどまでに大切なものだということを、改めて思い知らされました。

がんを克服した女性の中には、治療が終わったときよりも、髪が生えそろったときのほうが、自分の人生を取り戻せたと感じたという人もいます。また、髪が生えそろっても、できるだけ健康な髪を維持したいといって、頭髪治療を続ける人もいます。とくに、女性にとってはより深刻な問題で、がん治療後の社会復帰において高いハードルになることも少なくありません。

がんが治る時代になってきた今だからこそ、治療後のケアの1つとして頭髪治療があることを、より多くの人に知ってもらいたいです。

浜中 聡子 Dクリニック東京 ウィメンズ院長

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はまなか さとこ / Satoko Hamanaka

医学博士。北里大学大学院医学部卒業。女性のためには「前向きに年齢を重ねていくこと」の重要性を感じ、日本抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会(WOSAAM)専門医、米国抗加齢医学会(A4M)専門医、米国先端医療学会(ACAM)などの資格を多数取得。精神と身体の両面からケアすることを得意としながら、「ウェルエイジング」を提唱し臨床現場に立っている。著書に『美人増髪計画』『アフター更年期からの不調を治す50の習慣』など。

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