フランス文学者の書斎
フランス文学者の書斎というと、どんなイメージのものを思い抱くだろうか。フランス語の原書や学術書などが書棚に並び、室内も西洋風の設えで、家全体にもアカデミックな雰囲気が漂っている……というようなことを想像するが、東京・豊島区の東池袋というちょっと意外な場所に、まさに“そのもの”という学者の家が遺っている。
20世紀前半の日本のフランス文学研究の黎明期に活躍し、戦後に東京帝国大学(現在の東京大学)教授を務めた鈴木信太郎の住居だ。
建物は1928(昭和3)年築の書斎棟、戦後の1946 (昭和21)年に建てられた茶の間・ホール棟、そして1948(昭和23)年に埼玉県北葛飾郡の鈴木本家から移築した座敷棟の3つの部分から成っている。なかでもいちばんの見どころはこの家の主・鈴木信太郎がフランス文学に心酔し、研究を続けた書斎だ。


















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