「西野朗監督」タイで発揮する驚異の人心掌握術 日本をW杯でベスト16に導いた男が愛される訳

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言うまでもないことだが、どちらのタイプが正解というものではない。

アルベルト・ザッケローニ監督などは、日本をよく理解し、日本人をリスペクトしてくれたという意味では前者に当たるが、選手の自主性を尊重するあまり、時間の経過とともにチームが迷走した感は否めない。

逆に、フィリップ・トルシエ監督などは明らかに後者に分類されるが、つねに上から目線で選手を怒鳴りたてていた一方で、日本サッカー協会の古い体質に切り込み、強化に必要なことと思えば遠慮なく要求した。

例えば、毎年5、6月にフランス南部で開催されているトゥーロン国際大会という大会に、日本は近年継続的に出場しているが、そのきっかけを作ったのはトルシエ監督だった。20年前当時、日本ではまったく未知の大会も、しかし、ヨーロッパでは若手の登竜門として有名な大会であり、フランス人のトルシエ監督はその価値がよくわかっていたからである。

こうした事例に照らしてみても、西野監督は海外で監督を務めるのが初めての経験ながら、時にタイの文化や習慣を尊重しながら、時に日本のやり方を取り入れながら、うまくチームをマネジメントしているように見える。

今大会で初のベスト8進出を果たしたタイだったが、準々決勝ではサウジアラビアに0-1で敗れ、準決勝進出はならなかった。と同時に、上位3カ国に与えられる東京オリンピックへの出場権を手にすることもできなかった。

タイ代表からも目が離せない

しかし、敗れた準々決勝にしても、最終的にこの大会で準優勝することになるサウジアラビア相手に接戦を演じた。その勇敢な戦いぶりは、間違いなくメディアやサポーターの心を揺さぶるものだった。

ほどなくタイサッカー協会は、A代表とU-23代表を兼任する西野監督との契約を、2022年2月まで2年間延長したことを発表した。

西野監督の次なる仕事は、ワールドカップアジア2次予選。最終予選進出を目指すタイ代表(A代表)の戦いは、今年3月に再開される。

浅田 真樹 ジャーナリスト

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あさだ まさき / Masaki Asada

1967年5月31日生まれ。大学卒業後、現職とは縁もゆかりもない一般企業勤務を経て、フリーライターとしての活動を開始。現在、総合スポーツ誌、サッカー専門誌、ウェブ媒体などで執筆活動を行う。サッカー・ワールドカップは7大会連続での現地観戦。最近20年間で同U-20ワールドカップを全10大会中9大会、U-17ワールドカップを8大会取材している、(たぶん)世界唯一のジャーナリストでもある。

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