出張族が考えた、すごいビジネスホテル

ホテル龍名館東京、驚きの”ストーリー戦略”

仕事のモチベーションが上がるかどうかは、前日に汗だくになったスーツが、いかにドライにカラッと乾いているかとか、靴もくたびれた状態でなくピカピカになっているかとか。

そうしたことが「今日もやるぞ! 出張先でのビジネスを頑張って帰るぞ」というモチベーションにつながっていくと思います。

商品開発に使われる手法にMOT(モーメント・オブ・トゥルース)、つまり「出会いの瞬間」という手法があります。スカンジナビア航空のJan Carlzon(ヤン・カールソン)氏が考案したもので、ホテルを選ぶときから、電話して応対の瞬間から、チェックインの瞬間からと、細かく時系列で出会いの瞬間を抽出していって、そこでどこにどういう価値があるかを一つひとつ設定するのです。

われわれも商品を見直すときに、お客様はホームページをどう見ていくのか、どのように予約するのか、電話したときのスタッフの声はどんなトーンがいいのかと、細かく見ていきます。部屋へ入ったときも最初に何をするんだろうといったことも気にしています。

アメニティは要所を押さえてこだわる

部屋には本格的なエスプレッソマシーンが置いてある

――すごく気を使っていますね。

到着時といえば、われわれはもともと旅館なので、お着き菓子があったほうがいいだろうと考えています。そこで、日本橋の老舗である榮太樓總本鋪さんとコラボして、ピーセンという焼き菓子を提供しています。「ああ、日本橋に来たんだな」と感じていただいて、気持ちを切り替えていただくために、お着き菓子をちょっとつまんでいただけたらと思っています。

お茶に関しても、本物を置いています。たとえばカップ付き自動販売機などにある粉茶や粉コーヒー。あれには香料と着色料が入っていて、いわばコーヒーの香りがする茶色い白湯を飲んでいるようなものなのです。

――へえ、そうなんですか。

そういうのは文化的じゃないですし、本当の意味でのティーセラピー、気分転換にはならないと思うのです。だから専門店とコラボレーションして、なるべくいいものを入れるようにしています。コーヒーも同様です。

われわれは中間価格帯のホテルなので、スーパーラグジュアリーホテルのように、アメニティのすべてにこだわっているわけではありません。でも、われわれが考えるストーリーの中で「ここだけは譲れない」というところには、コストをかけています。

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