そういうふうな状況に置かれている人がいるとしたら、それはとても理不尽なことです。しかし、これと同じような状況はみなさんの職場でも間違いなく起きているはずです。なぜならば人事評価を専門にやっているコンサルタントに話を聞くと、このような管理職が組織の中では平均的だという事実があるからです。
人事評価のコンサルタントが成立している理由は、上司に対する教育市場というものが存在していて、そこでダメな上司を鍛える需要があるからです。典型的な企業では、上司の部下に対する評価技術はあまりトレーニングされていないうえに結構へたくそなものです。
前の期から評価がいい部下はつねにいい評価のままにしたり、部下の長所が自分の長所と似ている場合にほかの全項目でも評価が甘くなったり、思い込みでグループ全体の失敗を特定の部下の責任として評価したりと、トレーニングを受けた上司でもまだ評価のバイアスがたくさん残っていたりします。
上司もそうやって人の評価を勉強しながら成長して、それが上手になった頃には出世して次のポジションに行くわけですが、問題は若手部下と仕事をしている間は、上司の大半がまだ部下への対応や評価がへたくそな状況にあるということです。
若手部下が生き延びる方法は
若手部下の話を聞いてくれない上司は若手部下と関係性の問題を抱えているのですが、それだけでなく特定の若手部下からすると「話を聞いてくれるいい上司」でも、ほかの若手部下とは同様の問題を抱えているかもしれません。これはそのような問題なのです。
では、その前提で若手部下はどうやってこの状況を生き延びていけばいいのでしょうか。
正面突破するためには「老練な手練手管で聞く耳を持たない上司の考えを変えさせていく」という技術がありますが、この連載は普通の若者のための問題解決法なので、さまざまなテクニックを駆使して難しい上司を懐柔しようというような難易度が高い上級者向けの解決策は後回しにします。
もっとシンプルに、誰にでも対応できる問題解決法とは何でしょうか。
要するに状況としては上司は若手部下について悪い思い込みをもっているから話をまともに聞いてはくれない。そこで「この問題は簡単には解決できない」と認識することによってできるオプションを絞ってみる、という考え方を採用しましょう。
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